猫を飼ううえで避けられないのが抜け毛の問題です。 短毛であっても抜け毛が多い猫種もあれば、長毛だからと言って必ずしも短毛よりも抜け毛が多いとは限りません。 今回はそんな猫の被毛についてまとめてみました。 |
猫の被毛の構造
猫の被毛は、主に「ケラチン」と呼ばれるタンパク質によって構成されているため、猫は食事で摂取したタンパク質の多くを被毛の成長のために使用します。
人間の髪の毛は平均的に10万本生えているとされていますが、猫はその10倍の100万本の被毛が生えていると言われています。
そのため、猫は体重1㎏あたり人間の約5倍のタンパク質を必要とします。
猫の「毛包(もうほう)」と呼ばれる1つの毛穴からは、オーバーコート(上毛)と言われる太く硬い毛が1本とアンダーコート(下毛)と言われる細くて柔らかい毛が複数本生えています。
オーバーコート(上毛)の太さは、0.04~0.08㎜、アンダーコート(下毛)の太さは0.01~0.04㎜と言われています。
猫の被毛の役割
体温の調節
猫の被毛は、暑い夏には「夏毛」となってすっきりした見た目になり、寒い冬には「冬毛」となってふっくらした見た目になります。これにはアンダーコート(下毛)が関わっており、夏には少なくなって体温を逃がし冬には増えて体温を逃がさない様になっています。
猫の冬毛は背中よりもお腹の方が約2倍密度が高いと言われています。
アンダーコート(下毛)の量が多い猫種ほど抜け毛が多くなります。
皮膚の保護
猫の被毛のオーバーコート(上毛)は、皮膚に直接紫外線が当たるのを防いだり、汚れたり濡れたりするのを防いだり、ぶつかった時の衝撃を和らげるなど皮膚が傷つかないように保護する役割があります。
自分を大きく見せる
猫は、被毛の根元にある筋肉「立毛筋(りつもうきん)」を使って毛を逆立て、敵に自分を大きく見せて強さをアピールします。
換毛期について
猫の被毛は、「換毛期(かんもうき)」に抜け毛が多くなります。
換毛期は、冬から春になる3月頃と秋から冬になる11月頃の年2回あります。
人間が衣替えをする様に、猫はアンダーコート(下毛)の量を調整するのです。
短毛種であってもダブルコートの猫種は抜け毛が多く、長毛種であってもオーバーコート(上毛)かアンダーコート(下毛)のどちらか一層のシングルコートの猫種は抜け毛が少ないです。
シングルコートの猫種は換毛期がないため、一時期に大量に抜け毛が生じることはありませんが日常的な抜け毛はあります。
猫の被毛は、60~90日ほどの「成長期」、40~60日ほどの「休止期」、その後の「脱毛期」を繰り返しています。
新しく若い毛が生え変わるため、脱毛期であってもすべての被毛が抜けることはありません。
被毛の成長周期には、「日照時間」が影響しています。
日照時間が長いと成長周期がはっきりし、換毛期にはたくさんの被毛が抜けますが、完全室内飼いで主に家の明かりばかり浴びている場合は換毛期がはっきりしなく、一年中抜け毛がある場合もあるようです。
換毛期には、グルーミングによって大量に被毛を飲み込んでしまわない様に普段より丁寧にブラッシングをしてあげましょう。
環境が大きく変わったり、猫がなんらかのストレスを溜め込んでしまい、強い不安感を抑えるためにグルーミングをやりすぎて換毛期ではないのに脱毛する場合があります。
思い当たることがあれば状況を改善したり、いつもよりコミュニケーションを増やして安心させてあげるなどをしてあげましょう。
また、環境が変わらないのに大量に抜け毛がある場合や一部分のみ抜けて皮膚が見える場合、皮膚に発疹が出来ている場合は病気の可能性があるため、すぐに動物病院に行きましょう。
猫の被毛の種類
猫の被毛には、短毛、長毛、無毛、巻毛の4種類があります。
短毛
日本猫は短毛種のため、日本で見かける機会がもっとも多い被毛です。
ブラッシングは換毛期以外はそれほどまめにしなくても大丈夫ですが、その猫特有の毛並みを保つために1日1回は行った方がいい猫種も存在します。
毛が短いので、ラバーブラシのような柔らかいタイプのブラシで皮膚を傷つけないようにブラッシングしましょう。
シングルコートの短毛種
ダブルコートの短毛種
長毛
長毛種は、主に寒い地域を原産国としている猫が多いため、ペットショップで見かける機会が多いです。
毛が長くて絡みやすかったり、グルーミングで自分の毛をお腹に溜め込みすぎてしまわない様にブラッシングは毎日必要です。
換毛期では1日に2,3回はスリッカーブラシやファーミネーターなどで丁寧にブラッシングしてあげましょう。
夏の暑い時期にはサマーカットをされる方もいるようです。
また、抜け毛だけではなく顔やお尻などは長い毛に汚れがつきやすいため、シャンプーをしたり濡れたタオルなどで拭いてあげたりしてください。
シングルコートの長毛種
ダブルコートの長毛種
無毛
無毛種は滅多にお目にかかれない猫種です。
無毛とはいっても全く毛が生えないものから産毛の様な毛がうっすらと生えているものまであります。
抜け毛に関しては気にしなくてよいですが、皮脂を吸収する被毛が無いため脂っぽく汚れやすいので、定期的に濡れタオルで全身を拭いたりお風呂に入れてあげましょう。また、暑さや寒さには弱いため温度管理をしっかり行う必要があります。
巻毛
巻毛種もごくまれにペットショップで見かけるほどお目にかかれない猫種です。
長毛種のように毛が長くはありませんが、ぬいぐるみのようなモコモコした被毛のため、絡まりやすく毎日のブラッシングが必要です。
ラバーブラシで軽くとかした後、スリッカーブラシやコームを使って絡まった被毛を無理矢理ひっぱってしまわないよう優しく時間をかけてブラッシングしてあげてください。
シングルコートの巻毛種
ダブルコートの巻毛種
まとめ
猫の被毛には、短毛、長毛、無毛、巻毛の4種類があり、また猫種によってオーバーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)の両方があるダブルコートと、どちらか一方しかないシングルコートがあります。
そして、抜け毛はアンダーコート(下毛)が多い猫種ほどたくさん抜けます。
抜け毛が多いと掃除が大変ではありますが、手間のかかる子ほど愛着が湧くものです。
これから猫を飼おうと思っている方の目安の一つとしてご参考になれば幸いです。