猫の白内障とは、目の奥にある透明な水晶体の一部もしくは全部が白く濁ってしまい、視力が低下する病気です。 今回は、猫の白内障についてまとめてみました。 |
猫の白内障について
猫の目の中には、水晶体というレンズの役割をする組織があります。この水晶体は、遠くを見る場合は分厚くなって屈折率を大きくし、近くを見る時は薄くなって屈折率を小さくして見ているものを正確に捉える役割をしています。この水晶体が白く濁ってしまう病気を白内障と言い、発症すると視力が低下し、物体の輪郭がぼやけて見えるようになります。
猫の白内障は、症状によって以下の3段階に分類されます。
未熟白内障
水晶体の一部が白く濁っている状態
成熟白内障
水晶体全体が白く濁っている状態
過熟白内障
水晶体の濁りが進行して融解が起こり、眼球の中に融けた残存物が見える状態
猫が白内障になった時の症状
猫の白内障は、発症すると外観からも白く濁っているのがわかります。症状は片目のみに現れる場合と両目に現れる場合があります。片目のみの場合猫の行動はあまり変わりませんが、目ヤニや流涙が増えるといった症状が出るため、気になる症状が現れた場合はすぐに動物病院に行きましょう。
瞳孔の奥が白く濁る
飼い主が白内障の症状に気づくのは目がかなり白く濁った頃で、この段階で白内障はかなり進行しています。猫の目の病気の中には、白内障の他にも目が白く濁るものがあります。角膜混濁(かくまくこんだく)という病気がそうですが、角膜混濁は眼球全体が白く濁るのに対して、白内障は瞳孔の奥が白く濁ります。
目ヤニや流涙が多くなる
白内障に限らず、目に何らかの異常がある場合は目ヤニや流涙が多くなります。
段差で躓いたり柱や壁にぶつかる
髭で空気の流れを感じやすい壁際などを歩くことが多くなりますが、視力が低下し視界がぼやけると段差で躓いたり柱や壁にぶつかるようになります。
暗い場所を怖がるようになる
水晶体が白濁することによって、光を増幅するタペタムの働きが悪くなり暗い場所を怖がるようになったり、眩しい光を嫌い薄暗い部屋の隅にうずくまるようになります。
猫の白内障の原因
猫の白内障は、発症することは稀です。先天性のものはほとんどなく、大部分が基礎疾患や外傷により後天的に発症します。
先天性のもの
先天的に白内障を発症しやすい猫種は、ペルシャ、ヒマラヤン、バーマンなどです。
基礎疾患
糖尿病やブドウ膜炎、低カルシウム血症、緑内障、進行性網膜(萎縮)変性症などの病気によって白内障が引き起こされることがあります。
傷や栄養不足
猫同士の喧嘩や事故、異物が目に入ったことで水晶体が傷ついたり、栄養不足によって白内障が引き起こされる場合があり、猫の白内障の原因としては割合が多いようです。
有害物質
ナフタリン(衣類の防虫剤に含まれています)やジニトロフェノール(除草剤などに含まれています)といった毒物が原因で白内障が引き起こされることがあります。
電気ショックや放射線
腫瘍治療の際に行う放射線や、感電事故による電気ショックで白内障が引き起こされることがあります。
猫が白内障にならないための対策
完全室内飼いにする
猫の白内障は、事故や野良猫などとの喧嘩で負った外傷から発症することが多いため、完全室内飼いにしてリスクを下げましょう。多頭飼いで相性の悪い猫がいる場合は、あまりお互いを近づけないような工夫をしましょう。
基礎疾患の治療
白内障の原因となる基礎疾患がある場合は、早期に治療するようにしましょう。
繁殖しない
同じ病気の子猫が増えない様に、先天性の白内障を患った猫は繁殖させないようにしましょう。
猫の白内障の治療
治療については、症状や動物病院によって様々です。
詳しくはかかりつけの動物病院でご確認をお願いいたします。
点眼治療、内服薬
症状が軽度の場合は、白内障の進行を遅らせる点眼薬を投与したり、内服薬を服用して症状の改善を目指します。
基礎疾患が原因の場合
基礎疾患が原因の場合は、その病気の治療を優先的に行います。
外科手術
症状が進行して視力に支障がある場合は外科手術を行います。高周波の振動で水晶体を壊して吸い取る「水晶体乳化吸引術」や、水晶体を取り除く摘出術などがあり、失った水晶体の代わりに人工の眼内レンズを装着することもあります。
まとめ
猫の白内障は、早期に治療をすることが出来れば、投薬によって症状の進行を遅らせたり軽減することが出来ます。日頃から猫の様子を観察し、普段と違う様子が見られた場合は、すぐに動物病院に行くことを心掛けましょう。