猫の病気

猫の進行性網膜委縮(変性)症

アビシニアン 猫の進行性網膜委縮(変性)症とは、眼の奥にある網膜が萎縮や変性してしまい正常な機能を果たさなくなる病気です。
今回は、進行性網膜委縮(変性)症についてまとめてみました。
目次

猫が進行性網膜委縮(変性)症になった時の症状

視細胞には、明るい場所で光や色を感じる錐体細胞(すいたいさいぼう)と、色は感じないけれどもわずかな光でも感じることが出来る桿体細胞(かんたいさいぼう)があり、進行性網膜委縮(変性)症はまず桿体細胞から萎縮や変性を起こし、最終的には錐体細胞が萎縮や変性をし失明してしまいます。
また、網膜には細かい血管が広がっていて眼底部から水晶体に酸素や栄養を送る働きをしていますが、網膜が萎縮してしまうと酸素や栄養を十分に送ることが出来なくなり水晶体が変性して白内障を発症しやすくなります。

 暗い部屋を怖がったり、物にぶつかるようになる

初期には暗い場所での視力が低下しますが、明るい場所では問題なく動いているため、初期の段階で気づける飼い主はあまりいないかもしれません。

 部屋の隅や端を歩くようになる

視力が落ちてくると髭などの優れた感覚器で補おうとするため、空気の流れが読みやすい部屋の隅や端を歩くようになります。

 おもちゃなど動くものを見ても反応が遅い

視力が落ちてくると動くものが目の前にあっても目で追うことは出来ませんが、空気の流れであったり、かすかな音によって反応することがあります。

 音に敏感になり急に触れようとすると怯えるようになる

視力が落ちるとそれを補うために聴力など他の感覚器官が敏感になります。
猫に近づく時は優しく声をかけてあげてから近づいたり、大きな物音を立てたりしないようにしましょう。

 明るい場所でも瞳孔が開いたままになる

光を感じることが出来なくなると瞳孔が開いたままの状態になります。

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猫の進行性網膜委縮(変性)症の原因

 遺伝

生まれつきこの病気を持っているのは稀ですが、アビシニアン、サイアミーズ(シャム)、ペルシャで症例が報告されています。
子猫の時は目は見えていますが、徐々に視力が衰えていき2~4歳頃までには失明してしまいます。
進行がゆっくりであることと、慣れた場所ならば他の感覚器官を使って日常生活は送れるため、飼い主もなかなか病気に気づかないことが多いようです。

 タウリン不足

タウリンとは猫に必要なアミノ酸のことです。
現在ではフードにタウリンが配合されているものが多いため、格安の粗悪なフードを食べさせていたり犬と多頭飼いしている飼い主が面倒で一緒にドックフードを食べさせていたなど、よっぽどのことがない限りはタウリン不足による発症は見かけることはありません。

 他の病気や感染症によるもの

緑内障や網膜炎などの目の病気や、腎不全による高血圧、感染症が原因となって発症することがあります。

 誤飲による中毒

薬剤などを誤飲した場合に発症することがあります。

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猫が進行性網膜委縮(変性)症にならないための対策

遺伝によるものには予防策がありませんが、後天性の場合はその原因を出来るだけ取り除いてあげましょう。

 ワクチン接種

「猫のヘルペスウイルス感染症」や「猫のカリシウイルス感染症」などの感染症は、定期的なワクチン接種によって感染を予防することが出来ます。

 タウリンが配合されたフードにする

安いからと言って粗悪なフードを与え続けることは、進行性網膜委縮(変性)症だけではなく他の病気にかかるリスクも増え治療費が多くかかってしまうことになるため、猫に必要な栄養素がバランスよく配合された良質のフードを与えるようにしましょう。

猫の進行性網膜委縮(変性)症の治療

遺伝の場合の治療法はなく進行を抑えることは出来ませんので、後天性の場合のみの治療となります。
一度変性してしまった網膜は元に戻すことが出来ないため、治療はそれ以上悪化させないためのものとなります。
治療については、動物病院によって様々です。
詳しくはかかりつけの動物病院でご確認をお願いいたします。

 タウリン摂取

タウリン不足が原因の場合は、タウリンを投与したりタウリンが十分に含まれたフードを与えることで進行性網膜委縮(変性)症の進行を抑制することが出来ます。

 他の病気の治療

緑内障や網膜炎など他の目の病気や腎不全による高血圧からの網膜変性の場合は、その病気の治療をすることで進行性網膜委縮(変性)症の進行を抑制することが可能な場合があります。

まとめ

猫はもともと視力があまり良くないことと他の感覚器官が優れているため、もし失明してしまったとしても慣れている場所ならば普通に日常生活を送ることが出来ます。
進行性網膜委縮(変性)症は、遺伝であっても発症するのは稀なことです。
物にぶつかったり、動くものを追いかけなくなったりといった症状が見られた場合、進行性網膜委縮(変性)症以外の病気の可能性も考え、早めに病院に連れて行ってあげてくださいね。

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