猫の病気

猫の角膜炎

猫の目 猫の角膜炎は、角膜(黒目部分を覆っている透明な膜)に炎症が生じる病気です。
今回は、猫の角膜炎についてまとめてみました。
目次

猫の角膜炎について

猫の角膜は角膜上皮という組織で覆われていて、通常であれば微生物や細菌が侵入できないようになっていますが、何らかの原因で角膜上皮に傷がついたり、炎症を起こしているところに細菌などがついたことで角膜炎を引き起こします。
角膜炎は下記の5種類に分類されます。

 非潰瘍性角膜炎

角膜上皮には炎症があるが、上皮より下の部分で欠損が見られない場合

実質性角膜炎

猫ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペス)が関係しており、角膜上皮から実質にかけて炎症が起こっている状態です。慢性化すると潰瘍性角膜炎になります。

分離性角膜炎

「角膜分離症」または「角膜黒色壊死症」と呼ばれるもので、角膜の表面に黒褐色の固まりが出来、その後自然分離する病気です。生まれつき、ペルシャ、サイアミーズ(シャム)、ヒマラヤン、バーミーズがかかりやすいです。

好酸球性角膜炎

「増殖性肉芽腫性角膜炎」と呼ばれるもので、角膜の外側に桃色~褐色の瘤(こぶ)のようなできものが見られる病気です。

 潰瘍性角膜炎

角膜上皮より下の部分の欠損を伴う場合

表層性角膜潰瘍

角膜上皮が欠損した状態です。

深層性角膜潰瘍

角膜上皮を突き破り、角膜実質まで欠損が広がった状態です。

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猫が角膜炎になった時の症状

角膜炎は悪化すると視力の低下や失明のリスクがあるため、下記のような症状が見られた場合はすぐに動物病院に行きましょう。

 目をしょぼつかせたり、瞬きが多くなる

 流涙や目ヤニが増える

 目を痒かったり痛がったりする

目が気になって床や壁に擦り付けるような仕草をしたり、足で目のあたりを掻くような仕草が多くなったりします。

 光をまぶしがったり、瞼が痙攣する

 角膜が白く濁る

角膜炎が進行した状態です。

 新生血管(パンヌス)の視認

角膜の表面に細かい血管が侵入しているのが見えます。重症化すると角膜潰瘍や角膜穿孔(かくまくせんこう:角膜潰瘍が悪化して角膜に穴が開くこと)などを起こし、失明するリスクが高くなります。

猫の角膜炎の原因

 生まれつき

鼻ぺちゃである短頭種は、瞬目反射(しゅんもくはんしゃ:角膜への刺激で目を閉じる動作)が他の猫よりも鈍く、角膜炎になりやすいと言われています。
好発種:ペルシャ、サイアミーズ(シャム)、ヒマラヤン、バーミーズ

 感染や他の病気など

猫の角膜炎の原因として、ウイルスや細菌、真菌などによる感染、結膜炎や緑内障など他の病気によるもの、アレルギーやビタミン不足から発症すると言われています。

 角膜への刺激

ゴミや目の周りの被毛などの異物が入った場合や、目を強く擦ったり猫同士の喧嘩によって角膜に傷がついてしまったりした場合も角膜炎を引き起こす原因となります。

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猫が角膜炎にならないための対策

 混合ワクチンの接種

「三種混合ワクチン」は、ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペス)、カリシウイルス感染症、パルボウイルス感染症に対応したものです。定期的なワクチン接種をすることで感染症の予防が出来るため、角膜炎になるリスクも下がります。

 髭を切らない

猫の目の上にある「上毛」は、目の近くに飛んできたゴミが目に入らないようにする役目をしています。

 ブラッシング

ブラッシングをまめにすることで、抜け毛を減らし被毛が目に入らないように出来ます。

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猫の角膜炎の治療

治療については、症状や動物病院によって様々です。
詳しくはかかりつけの動物病院でご確認をお願いいたします。

 対症療法

「非潰瘍性」でも「潰瘍性」でも、重症ではない場合は、基本的には症状が悪化しないための対症療法が行われます。洗眼で目をきれいにして抗炎症剤の点眼投与や、二次感染を防ぐための抗生物質の投与などを行います。症状によりますが、「非潰瘍性」で1週間ほど、「潰瘍性」で数週間ほどで自然に修復されます。

 基礎疾患の治療

感染症による角膜炎の場合は、抗ウイルス剤の投与やインターフェロンを投与し感染症の治療を優先します。

 外科手術

角膜が白く濁っている場合や、視力低下で生活に支障をきたしている場合、失明の危険性がある場合には、角膜表層の切除や角膜移植などの外科手術を行います。

まとめ

猫の角膜炎は、いろいろある目の病気の中でも比較的気づきやすい病気です。重症化すると失明のリスクがありますので、日頃から猫の様子を観察し、いつもより多く涙を流していたり目を気にする仕草をしていたら、すぐに動物病院に連れて行ってあげてくださいね。

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