猫の病気

猫のカリシウイルス感染症

くしゃみしそうな猫 人のインフルエンザは猫にはうつりません。
しかし、乾燥する冬になると「猫風邪」や「猫のインフルエンザ」とも呼ばれる「カリシウイルス感染症」になることがあります。
今回は、このカリシウイルス感染症がどのような症状が出るのか、予防策はあるのかについてまとめてみました。
目次

猫がカリシウイルス感染症になった時の症状

猫のカリシウイルス感染症は、猫カリシウイルス(feline calicivirus=FCV)に感染することで発症する感染症です。
生後6~10週くらいの子猫や老猫がかかりやすいと言われており、注意が必要です。
また、3歳を過ぎるころから感染しても軽い症状であったり、症状が出ない場合があり、この状態を不顕性感染(ふけんせいかんせん)と言います。

 口内炎、舌炎

他の症状の似ている感染症と特徴的に違うのが、猫のカリシウイルス感染症は舌や口腔の上側(口蓋)に潰瘍や水泡ができることです。

 餌を食べない、元気がない

口腔内に潰瘍や水泡が出来ることにより痛みで食欲がなくなり、痛みや食欲不振のため元気がなくなります。

 よだれが出る

口腔内に潰瘍や水泡が出来ることにより、痛みからよだれを垂らすようになります。

 口臭がする

口腔内の潰瘍や水泡の他、歯肉炎などの関連性も疑われており、口臭がします。

 くしゃみ、鼻水、咳が出たり発熱する

くしゃみ、鼻水、咳や発熱などの症状が出たり、症状が悪化すると食欲もなくなり肺炎を併発することがあります。

 目ヤニや涙が出たり結膜炎になる

症状が重くなるとヘルペスウイルスなどを併発し、目ヤニや涙が出たり結膜炎になることもあります。

 強毒全身性猫カリシウイルス感染症

1998年に初めてアメリカで報告された「強毒全身性猫カリシウイルス感染症」は、上記の症状よりもさらに重篤なもので、致死率が67%以上とも言われている恐ろしい感染症です。
この感染症を発症してしまうと、呼吸困難や皮下浮腫、足の潰瘍、肝炎、膵炎、黄疸(おうだん)、血液凝固異常などの症状が現れます。

猫のカリシウイルス感染症の原因

猫のカリシウイルスは非常に感染力が強く、常温でも1か月以上、乾燥した冬など気温が低い場合はさらに長期間感染力を持ち続けます。
また、一度感染してしまうと症状が回復しても8割ほどの猫はそのままカリシウイルスを保菌するキャリアとなり、免疫力が落ちると猫カリシウイルス感染症を再発しやすくなってしまいます。

 接触感染

飼い主が外などで猫カリシウイルス感染症に感染した猫を触った後、衣服や手にカリシウイルスを付着させたまま自宅の猫を触り感染させてしまう間接的接触と、猫カリシウイルス感染症にかかった猫やキャリア猫に他の猫が触れ合うことで感染する直接的接触があります。
また、去勢や避妊手術を受けていない猫の方が感染リスクが高いと言われています。

 空気感染

猫カリシウイルス感染症に感染した猫やキャリア猫のくしゃみ、よだれや鼻水に触ってしまうことでもすぐに感染してしまいます。
このため、多頭飼いをしている場合はすぐに他の猫にも感染させてしまう可能性が高く注意が必要です。

猫がカリシウイルス感染症にならないための対策

 ワクチン接種

「三種混合ワクチン」や「五種混合ワクチン」、「七種混合ワクチン」などを接種し体内に抗体を作ることにより、猫カリシウイルス感染症に感染しても症状が重くならずに済みます。
一度感染してしまった場合はキャリア猫となってしまうため、定期的なワクチン接種が望ましいとされています。
一般的に「三種混合ワクチン」は完全室内飼いの場合、猫クラミジア感染症の予防が入っている「五種混合ワクチン」は室内飼い、または外にも出る猫の場合、「七種混合ワクチン」は三種や五種では1種類の猫カリシウイルスにしか対応していないところを、3種類の猫カリシウイルスに対応しているといった違いがあります。
ワクチン接種の種類など詳しいことについては、かかりつけの動物病院でご確認をお願いします。

 完全室内飼いにする

猫カリシウイルスは、わずかな遺伝子の違いによって様々な種類があります。
人がインフルエンザA型の予防接種を受けていてもインフルエンザB型にかかってしまうのと同じように、せっかくワクチン接種をしても違う種類の猫カリシウイルスに感染することは少なくありません。
屋外では様々な種類の猫カリシウイルスに感染するリスクが高くなるため、出来れば完全室内飼いにするのがお勧めです。

 手洗いや消毒の徹底

猫カリシウイルスは非常に感染力が強いため、飼い主が手や衣服にウイルスを付着させたまま家に持ち帰って感染させてしまったという報告もあります。
一見症状が無いように見えてもキャリア猫である可能性もあるため、外で野良猫などに触れた場合は手洗いや衣服を着替えるなどの対応をするようにしましょう。
また、猫カリシウイルス感染症に感染した猫がいる場合は、使用した食器や便器などは塩素系漂白剤の消毒が必要です。

猫のカリシウイルス感染症の検査

検査については動物病院によって様々です。
症状や経過によっても違い、他の検査が必要な場合もあります。
詳細については、かかりつけの動物病院でご確認をお願いします。

 血液検査

血液からウイルスを分離して陽性、陰性を診断します。

 病変部採取

病変部(口腔、鼻腔、結膜)を採取し、ウイルスRNA(DNAの遺伝情報を転写したもの)の検出とウイルス分離によって診断します。

猫のカリシウイルス感染症の治療

猫のカリシウイルス感染症には特効薬がありません。
症状を抑える対症療法を行い、猫の自然治癒力にまかせます。
子猫や老猫はこじらせる場合が多いため、疑われる症状が出た場合は早急に動物病院を受診することをお勧めします。

 抗生物質による治療

二次感染を予防するための抗生物質を投与します。
脱水症状があれば輸液療法も行います。
二次感染がなく重症化しなければ、2~3週間で回復します。

 インターフェロンによる治療

免疫力を高めるインターフェロン( ウイルス感染細胞で生産されるタンパク質)を投与します。

 栄養補給

猫のカリシウイルス感染症は、口内炎や舌炎が出来るため痛みでご飯を食べることが出来なく、栄養を十分に取れない場合もあります。
そのような場合は、シリンジ(注射器状のもの)や食道チューブを使用して流動食を食べさせることもあります。
自力で食べられる場合は、通常のご飯よりも栄養バランスのいいご飯にした方が良いでしょう。
人肌くらいに温めたり、缶詰やパウチの食事を与えたりすると食欲が出る場合もありますので、愛猫が少しでも食べてくれるようにいろいろ工夫してみましょう。
また、脱水症状にならないように水分をきちんと取っているか観察してあげてくださいね。

まとめ

人の風邪と同じような症状が出る「猫のカリシウイルス感染症」はただの風邪では済まされないほど感染力が強く、一度感染してしまうと一生付き合っていかなければならない感染症です。
ワクチン接種は定期的に行い、疑わしい症状が見られた場合は重症化しないように早めに動物病院を受診してくださいね。

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