猫がゴロゴロと喉を鳴らしている音はとても癒されます。
猫はどのような時にゴロゴロと喉を鳴らすのでしょうか。
この記事では、猫のゴロゴロ音の仕組みやもたらす効果について紹介しています。
猫のゴロゴロ音の仕組みともたらす効果
猫のゴロゴロ音の仕組み
猫のゴロゴロ音の仕組みについては、いくつかの仮説がありますが現在のところ詳しく解明されていません。
有力なのは以下の2つの説とされています。
喉(喉頭)の筋肉の動きによるもの
猫が喉をゴロゴロと鳴らす時に人の喉仏の位置にある喉頭の筋肉が細かく動いており、この動きによって声帯が震えゴロゴロと鳴ると言われています。
血液の乱流によるもの
猫の喉元を通る大動脈の血流が増えることで血液の乱流が起こって低い音が出され、その音による振動が横隔膜で増幅されてゴロゴロと音が鳴ると言われています。
猫のゴロゴロ音がもたらす効果
猫が喉をゴロゴロ鳴らすのはいろいろな場合がありますが、この音にはなんらかの効果があるのでしょうか。
ストレスを解消させる効果
猫が喉を鳴らすゴロゴロ音の周波集は25~150Hz(ヘルツ)と言われており、20~50Hzの低周波には人の副交感神経を優位にし、セロトニン(別名「幸せホルモン」とも呼ばれる心のバランスを整える作用のある物質)の分泌が活性化されて身体の緊張をほぐし、疲労やダメージを修復する効果があるとされています。
フランスでは、このゴロゴロ音をリラクゼーションや治療に取り入れた「ゴロゴロセラピー」が行われています。
猫に限らず、動物を使った医療行為であるアニマルセラピーはドイツでは公的なものとして認められていて、イギリスやアメリカでも取り入れる病院が増加していますが、日本では厚生労働省に認められていないため普及しにくくなっています。
骨折の回復を早める効果
医学の研究で、骨折した箇所に超音波を当てることで骨折の治癒が早くなるとの報告があります。
猫は痛みに強いとか骨折が早く治ると言われており、そのスピードは他の動物の3倍です。
猫のゴロゴロ音の低周波による振動が骨の密度を高くする効果があるのではないかと考えられています。
猫がゴロゴロと喉を鳴らすのはどんな時
猫は1匹でいる時には喉を鳴らさなく、ゴロゴロ喉を鳴らすのは他の猫や飼い主に対するコミュニケーション方法のひとつであると言われています。
・母子間や猫同士のコミュニケーション
母猫は仔猫に近づく時にゴロゴロと喉を鳴らしてコミュニケーションをとり、生まれたての仔猫はまだ喉を鳴らすことができないため、母猫のゴロゴロ音を振動によって感じます。
仔猫は生後2日ほどで喉を鳴らすことができるようになり、喉を鳴らして自分がちゃんと授乳できていることや元気でいることを母猫に伝えていると考えられています。
仔猫は授乳中は喉を鳴らすのを止めます。
多頭飼いしているご家族では、猫同士でゴロゴロ喉を鳴らしているのを聞いたことがあるかもしれません。
この場合はお互い信頼し合っていたり、親近感を感じていることの表れとされています。
母子間や猫同士で喉を鳴らすゴロゴロ音は中低音です。
・仔猫の頃を思い出している
成猫が毛布などをふみふみしながらゴロゴロ喉を鳴らしていることがあります。
この場合は、母猫とコミュニケーションを取っていた仔猫の頃を思い出しているのかもしれません。
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・幸せを感じている
猫がリラックスして幸せを感じている時や喜んでいる時にゴロゴロと喉を鳴らす音は中低音です。
猫の頭や喉を撫でている時にゴロゴロ聞こえる音です。
喉を鳴らしながら飼い主の手を舐めたり甘噛みしてくるのは、嬉しさや信頼している気持ちの表れと言われています。
・甘えや要求を訴えている
仔猫は母猫に何かして欲しい時に喉をゴロゴロ鳴らしてアピールします。
飼い主にとても懐いていて飼い主を母猫と思っている猫の場合、何かして欲しい時にゴロゴロと喉を鳴らすことがあります。
この時のゴロゴロ音は普段よりも少し高い音で、イギリスのサセックス大学の研究によると人に緊急性を抱かせ、猫を放っておけなくなる高周波の声が含まれていると報告されているようです。
この時のゴロゴロ音の周波数は220~520Hz(ヘルツ)の間で、人の赤ちゃんの泣き声とほぼ同じと言われています。
・苦しみや危険、ストレスを感じている
猫が喉をゴロゴロと鳴らすのは、良い時ばかりではありません。
この時のゴロゴロ音は上記の時よりも低い音で、エンドルフィンなどの神経伝達物質が関係していると言われています。
エンドルフィンは脳内麻薬とも呼ばれ、多幸感や鎮痛作用をもたらします。
この物質は美味しいものを食べて満足したような時だけではなく、苦しい時や痛い時にも分泌されることがわかっており、鎮痛作用によって痛みを軽減していると考えられています。
怪我をした時や出産の時、病気の時、自分の気持ちを静めたい時、動物病院の診察台に乗った時、死の間際などにゴロゴロ鳴らす音は低音です。
猫は痛みや体調不良を表に出さない動物と言われていますので、いつもより元気がないのにゴロゴロ喉を鳴らしている場合は、トイレの状態やご飯や水の摂取量などを確認し、状況によっては動物病院に行くようにしましょう。
ゴロゴロ音を鳴らさない理由
猫の中には喉をゴロゴロ鳴らさない子もいるようです。
原因が何であるのかはまだ解明されていませんが、下記のようなことが考えられています。
・人に慣れていない
人に慣れていない子や甘えない子、自立心の強い性格の子は、ゴロゴロと喉を鳴らさない傾向があるようです。
・母猫が側にいなかった
生まれてすぐに母猫から引き離された仔猫は、コミュニケーションを取る必要がないためゴロゴロ音を出さない猫になる傾向があるようです。
・去勢、避妊後に鳴らさなくなった
猫にとって去勢や避妊手術はとても怖いことですので、強いストレスを受けてしまったことが原因かもしれません。
・環境の変化
引っ越ししたり、近所で工事などの騒音がする、トイレが掃除されていない、猫が使うトイレやキャットタワーの位置を変えたなど最近変わったことがあった場合、それが原因かもしれません。
・病気、体調不良
いつもゴロゴロ喉を鳴らしていたのに突然鳴らさなくなったり、急にゴロゴロ音が小さくなった場合は、病気や体調不良、ストレスを抱えている可能性があります。
トイレの状態、食事や水の摂取状況、猫の様子を見て元気がないようでしたら病院に行った方がいいかもしれません。
まとめ
猫が喉を鳴らすゴロゴロ音は、猫にとってはいろいろな感情を表すコミュニケーションの手法であり、骨折の回復を早める役割も担っています。
人にとって癒されるこの音は猫には聞きづらい音であり、猫自身は音ではなく振動によって感知していると考えられています。
喉を鳴らすのはリラックスしている時だけではないので、猫の様子をよく見て上手にコミュニケーションを取ってくださいね。