猫の病気

猫の膝蓋骨脱臼

デボンレックス 猫の膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)とは、膝蓋骨と呼ばれる膝の皿の骨が正常な位置からずれている状態のことを言います。
今回は、猫の膝蓋骨脱臼についてまとめてみました。
目次

猫の膝蓋骨脱臼について

猫は犬に比べると高いところから飛び降りたり、ジャンプしたりするため元々膝のクッションが優れているのですが、強い力がかかって膝蓋骨を脱臼することがあります。
完全にずれてしまった状態を「脱臼」、不完全にずれてしまった場合を「亜脱臼」といい、膝の皿が内側にずれてしまったことを「内方脱臼(ないほうだっきゅう)」、外側にずれてしまったことを「外方脱臼(がいほうだっきゅう)」といいます。

猫が膝蓋骨脱臼になった時の症状

下記のような症状が見られた場合はすぐに動物病院に行きましょう。

・痛くて足を床につけられない
・足を引きずって歩く
・脛が腫れている
・足が震える
・ジャンプ出来なくなる
・足を触られるのを嫌がる

猫の膝蓋骨脱臼には症状によって4段階のグレードがあります。
軽症の場合は自然に元の位置に戻ったり、特に目立った症状が現れない場合もあります。

 グレードⅠ

脱臼しても自然に正常な位置に戻る、または無症状の状態です。

 グレードⅡ

症状が進むと膝関節を曲げただけで脱臼したり、自発的に脱臼を起こしたり戻したりもできるため、足を浮かせて歩く→いつも通り歩く→足を浮かせて歩くというような繰り返しの行動を起こしたりします。
この段階では、飼い主が脱臼を戻すことは可能ですが、症状がさらに進むと骨が変形したり靭帯が伸びてしまうこともあります。

 グレードⅢ

さらに症状が進むと頻繁に脱臼を起こします。
飼い主が戻しても、またすぐに脱臼を起こしてしまします。
このため、常に片足を付けずに歩くようになります。

 グレードⅣ

末期の状態まで症状が進んでしまうと、常に脱臼しており元の位置に戻すことも出来なくなります。
この場合、「大腿骨滑車溝」と呼ばれる膝蓋骨が滑る溝が浅いか欠損している状態です。

猫の膝蓋骨脱臼の原因

 先天性

猫の膝蓋骨脱臼の原因のほとんどは生まれつきと言われています。
デボンレックス、サイアミーズ(シャム)、ペルシャ、スコティッシュフォールド、メインクーンが発症しやすいと言われています。
生まれつき股関節形成不全症に伴う股関節の脱臼によって、太ももの筋肉が引っ張られて膝の皿の位置がずれてしまうなど、膝蓋骨周りの筋肉や骨、靭帯の形成異常が原因とされています。

 後天性

交通事故や壁に強くぶつかってしまったり、高いところから飛び降りたりして強い力が加わってしまった場合に膝蓋骨脱臼を起こしてしまうことがあります。

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猫が膝蓋骨脱臼にならないための対策

先天性の膝蓋骨脱臼の場合は予防策はありません。

 完全室内飼いにする

交通事故を防ぐ一番の予防策は室内飼いにすることです。
感染症など他の病気の原因となるリスクを避けることもできます。

 クッションになるものを設置する

猫種によっては高いところに登るのが好きな子もいます。
汚れ防止にもなりますので、飛び降りても衝撃を吸収できるようなクッションフロアやカーペットを設置することをお勧めします。
また、急に驚かせたりすると猫がびっくりして駆け出してしまい、壁にぶつかってしまうこともありますので、不必要ないたずら目的で驚かせるのは止めましょう。

 食事に気を付ける

肥満になってしまうと、飛び降りた時に足にかかる衝撃が大きくなりますので、きちんと食事管理をして肥満にならないように気を付けましょう。

猫の膝蓋骨脱臼の治療

治療については、動物病院によって様々です。
詳しくはかかりつけの動物病院でご確認をお願いいたします。

 保存療法

グレードⅠの段階で顕著な症状が見られない場合は、手術を行いません。
肥満の予防や運動の制限、痛みがある場合は鎮痛剤の投与が行われます。

 外科手術

グレードがⅡ以降の場合は外科手術が行われます。
膝の皿がはまる溝を削って深くする、骨を削って膝の皿の位置を強引に溝にはまるようにするなど、症状によって手術の内容はいくつかあります。
外科手術をした後は、硬くなってしまった筋肉を戻すためのリハビリが行われます。

まとめ

猫の膝蓋骨脱臼は、発症率があまり高くありませんが生まれつき脱臼しやすい猫種がいます。
高いところが好きな猫はたくさんいますが、キャットタワーなどに登りたいのに足が痛くて登れないと猫はストレスを感じてしまいます。
歩き方がおかしいと感じたり、いつも登るキャットタワーに登らないなど少しでもいつもと違うと気が付いたら、症状が進行しないうちに動物病院に連れて行ってくださいね。

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