デザートリンクスグループに属する猫種は4種類おり、北米の小型のオオヤマネコとイエネコのハイブリット種ではないかと言われています。このグループに属する猫種とその違いについてまとめてみました。
リンクスとは
リンクスとは「オオヤマネコ」を意味しており、哺乳鋼食肉目ネコ科オオヤマネコ属に分類される食肉類です。聴覚、視覚、嗅覚に優れ、犬歯などの歯がよく発達していて顎の筋肉が強く噛むのに適しています。リンクス系は、北アメリカやユーラシアなど温暖な気候に暮らしており、短い尻尾とピンと立った耳が特徴です。体重は5~20㎏程度で、下記の4種がリンクス系に属しています。
ボブキャット
デザートリンクスグループの基礎となった猫と言われるボブキャットは、体長が55~100㎝、体重が5~15㎏ほどあり、オオヤマネコの中では最も小さいです。アメリカを含むカナダ南部からメキシコ北東部にかけての森林・草原・半砂漠地帯に生息しています。カナダオオヤマネコよりは小さいですが、大型のイエネコの倍くらいの大きさがあります。カナダオオヤマネコとは競合するため生息地は棲み分けています。名前の由来となっている先端が黒い短い尻尾をしています。 |
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カナダオオヤマネコ
体長は60~110㎝、体重は7~17㎏ほどで、カナダやアラスカの森林やアメリカのモンタナ州、アイダホ州、ワシントン州などに生息しています。全体的に茶系統の色の地に黒い斑点模様があり、冬には灰色が混ざり全体的にシルバーに見えます。耳の先には黒い飾りがあります。木登りが上手で泳ぐこともできると言われています。 |
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スペインオオヤマネコ
体長は85~110㎝、体重は10~15㎏で、イベリア半島(ヨーロッパの南西部)に分布しているオオヤマネコです。以前はヨーロッパオオヤマネコの亜種とされていましたが現在は別種とされています。オオヤマネコの中では生息数が少なく、絶滅危惧種に指定されています。体毛の色は季節によって変わり、夏は赤褐色や黄褐色で冬には灰色になります。耳の先には黒色の飾り毛、両頬には長いふさ毛があり、目はゴールドなのが特徴です。 |
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ヨーロッパオオヤマネコ
体長は70~130㎝、体重は14~20㎏でヨーロッパからシベリアにかけての森林地帯に生息しており、オオヤマネコの中では最も大きいです。単にオオヤマネコと呼ばれることが多く、木登りや泳ぐこともします。 |
デザートリンクスグループの猫種
デザートリンクスグループに属する猫種は4種類あり、被毛の色や毛質、耳の形によって分類されます。
デザートリンクス
白以外の直毛であり、耳が直立しているのが特徴です。血統的にはIPCBA(International Progressive Cat Breeders' Allinace)に登録されているものが正しく、REFR(Rare and ExoticFeline Registry)に登録されている場合は、交配に立ち耳のハイランダーや直毛のモハーベボブなどが用いられています。 |
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ハイランダー
デザートリンクスとジャングルカール(巻耳を持つアメリカンカールの亜種とアフリカンジャングルキャットの交雑種)の交配によって誕生した猫種です。白以外の直毛であり、耳がカールしているのが特徴です。血統的にはIPCBA(International Progressive Cat Breeders' Allinace)に登録(登録名は「ハイランドリンクス」)されているものが正しく、REFR(Rare and ExoticFeline Registry)に登録されている場合は、交配に直毛のモハーベボブが用いられています。 |
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モハーベボブ
デザートリンクスとハイランダー、セルカークレックスを交配して誕生した猫種です。白以外の巻毛が特徴で耳はカールしている個体と直立している個体がいます。直毛で生まれた場合は、デザートリンクスやハイランダーの交配に用いられることもあります。 |
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アルパインリンクス
上記3種の特徴を持っていても、被毛が白一色の場合はアルパインリンクスに分類されます。 |
デザートリンクスグループの特徴
デザートリンクスグループに属する猫種の身体はボブキャットの特徴を受け継いでおり、大きな骨格で筋肉質であり、前足よりも後ろ足の方がやや長く、尻尾は短く(マンクスのように尻尾がない個体もいるようです)、多くの個体で多指が見られ、指の間には房毛が生えています。
頭部は大きめで離れた目とマズルが真四角に近い形をしており、耳の先には房毛があります。
体重は4~10㎏ほどで、オスで大きくなってもボブキャットの3分の2程度ですが、一般的な猫と比べると大きく成猫の大きさに成長するまでに3~4年ほどかかります。
イエネコとしては大型のメインクーンやノルウェージャンフォレストキャット、サイベリアンなどはリンクスと同じような耳の先端に房毛がある個体がおり、これを「リンクスティップ」と呼びます。
デザートリンクスグループの交配に用いられた猫種
デザートリンクスは、北米の小型のオオヤマネコとイエネコのハイブリット種ではないかと言われています。
オオヤマネコは生息地から、ボブキャットもしくはカナダオオヤマネコと推測されます。イエネコは、スコティッシュフォールド、ベンガル、アメリカンカールなどではないかと推測されています。
スコティッシュフォールド
日本で最も人気の高い猫種です。この折れ耳は先天性心疾患ですが、日本国内だけではなく海外にも魅力を感じる人は多いようです。 |
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ベンガル
野生的な見た目で国内外ともに人気のある猫種です。ベンガル自体がアジアンレパードキャットという野生の猫とイエネコとの交配によって誕生しました。 |
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アメリカンカール
反り返った耳が特徴で人気のある猫種です。この耳はスコティッシュフォールドとは違い優性遺伝のため、ハイランダーの耳の特徴に影響を与えていると推測されます。 |
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ジャングルキャット
小型のネコ科の一種で比較的短い尻尾を持っており、中近東からインド、パキスタン、アフガニスタンにかけて生息しています。体長は50~75㎝、体重は5~16㎏でイエネコに比べると大型です。このジャングルキャットとアメリカンカールの亜種との交配によって生まれた「ジャングルカール」がハイランダーの誕生に関係しています。また、別猫種であるチャウシーの交配種でもあります。 |
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セルカークレックス
羊のようなクルクルとカールした被毛を持つ猫種で、モハーベボブの交配種です。 |
まとめ
デザートリンクスグループに属する猫種は、野生的な見た目や大きさに反して大人しくて友好的な性格をしています。野性の血を受け継いでいるため運動量が多く、ハンター気質が残っており小動物を追いかけてしまうことがありますが、飼い主のことが大好きで他のペットとも仲良くなれます。CFAなど、ネコ科の野生動物との交配を受け入れない猫血統登録団体も多くマイナー種ではありますが、ネコ科の野生動物をペットにするのは現実的ではないため、野生的な猫を飼いたいと思っている方にはとても惹きつけられる猫種ではないでしょうか。