「猫は体調不良を隠そうとする習性があるため、普段から猫の様子をよく観察しましょう」と言われても、具体的に何を見ればいいの?と思うことはないでしょうか。
この記事では、ご家庭で行った方がよい猫の健康チェックについて紹介しています。
猫の部分的な健康チェック
猫の性格によってはあまり飼い主に触られることを好まない子もいますが、できれば普段からわずかな時間でも猫の身体に触れるようにしましょう。
普段から耳や爪のケアをしてあげたりブラッシングをしていると、いつもと様子が違う時に気付きやすくなります。
猫をケアする時に以下の点をチェックしてみましょう。
毎日すべてを行うのは大変なので、その日のケアに合わせていろいろ組み合わせてチェックしてみてください。
頭部のチェック
目
- 目ヤニが付いていたり、涙目や充血していたりしませんか?
- 両目とも均等に開いていますか?
- 目に輝きがありますか?
- 目が白く濁っていませんか?
- 虹彩部分の色が変色していたりしませんか?
鼻
- 鼻水が出ていませんか?
- 活動中は湿り気がありますか?(寝ていたり起きたばかりの時は乾いていることがあります)
- 寝ている時に「ブーブー」や「ガーガー」という音が混じっていませんか?
口
- 嫌な口臭がしていませんか?
- 涎(よだれ)が垂れていませんか?
- 舌や歯茎は綺麗なピンク色をしていますか?
- 歯垢や歯石が溜まっていませんか?
耳
- 変な臭いがしませんか?
- 耳の中は綺麗ですか?
- 黒っぽい耳垢が溜まっていませんか?
-
猫の外耳炎
耳の穴から鼓膜までの間を「外耳(がいじ)」といいます。この外耳に炎症が起こることを外耳炎といいます。 今回は、猫の外耳炎についてまとめてみました。 目次 猫の外耳炎について 猫が外耳炎になった時の症状 ...
身体部のチェック
爪
- 爪の間や生え際は汚れ過ぎていませんか?
- 肉球に爪が当たっていませんか?
尻尾
- だらりと垂れたままではなく、自由に動いていますか?
乳腺(メスのみ)
- お乳の辺りを触った時にしこりのようなものはありませんか?
お尻
- 肛門付近は綺麗ですか?
- 肛門はキュッと締まっていますか?
被毛
- 被毛が乾燥してパサパサしていませんか?
- 撫でた時に指がネバネバと脂っぽくなったり、指が引っ掛かったりしませんか?
- フケがたくさん出ていませんか?
- 部分的に毛が抜けている箇所はありませんか?
皮膚
- 皮膚に弾力はありますか?
- 皮膚に赤みや湿疹はありませんか?
-
猫の皮膚病
猫の被毛は体温の調節をしたり、皮膚を守ってくれたりと大事な役割を果たしてくれていますが、猫が皮膚病にかかってしまうとその大事な被毛が抜けてしまったり、皮膚自体に発疹などが出来たりします。 皮膚病にはど ...
全身
- 急に痩せたり太ったりしていませんか?
- 妊娠以外でお腹がずっと張っていたり、膨らんでいる様子はありませんか?
- 傷やしこりが出来ていたり、触った時に嫌がったり痛がったりしている様子はありませんか?
猫の行動・状態チェック
ここでの項目については、出来れば毎日チェックするようにしましょう。
具合が悪くなって動物病院にいった時に、普段の様子との違いを説明することで、悪い箇所や病気の早期発見につながる可能性があります。
行動のチェック
睡眠や遊んでいる時のチェック
- よく眠りますか?
- いつものように遊びますか?
- いつもより疲れやすかったり、呼吸が荒かったりしていませんか?
普段の行動
- 歩いている時に足を引き摺っているような様子はありませんか?
- 高い場所に登りたがらない様子はないですか?
- グルーミングをしてしますか?
- ずっと同じ個所をグルーミングしたり掻いていたりしていませんか?
- 暗い場所や狭い場所などでうずくまっていたりしませんか?
- 急に攻撃的になったりしていませんか?
状態のチェック
飲食の状態
- 好き嫌い以外でご飯を残していませんか?
- 水を飲む量が急に増えていませんか?
-
猫の糖尿病
猫の糖尿病は、膵臓で作られるインシュリンというホルモンの働きが悪くなり、血液中の糖が多くなってしまう病気です。 血液中の糖濃度が高い状態が長期化すると、身体のさまざまな部分に障害を起こしてしまいます。 ...
排泄物の状態
- 気が混じっていたり変な色をしていませんか?
- 排泄物をしていない様子はないですか?
- 下痢の状態が続いていませんか?
- 尿にキラキラ光っているものが見えませんか?
- トイレに行く回数が増えていませんか?
- トイレにかかる時間が長くなっていませんか?
-
猫の尿路結石症(尿石症)
猫の尿路結石症(尿石症)は、腎臓から尿管、膀胱、尿道の中に結石や結晶が出来、傷つけたり詰まったりすることで血尿が出たり、膀胱炎を引き起こしてしまう病気です。 結石は砂粒くらいのものから数㎝の固まりまで ...
猫の健康チェック以外に飼い主が出来ること
愛猫の健康維持のために、他に飼い主が出来ることを紹介します。
家で出来ること
完全室内飼い
住んでいる地域にもよりますが、感染症のリスクや他猫との喧嘩による怪我、交通事故のリスクを避けるためにも、出来れば完全室内飼いをおすすめします。
食事
毎日の食事は猫の健康を維持するためにとても大切です。
安いフードは猫に必要な栄養が十分でなかったり、飼い主の目を惹くための着色料など、必要なものの代わりに代用品や猫の身体にあまりよくないものが入っていたりすることがあります。
猫が妊娠したり、成長過程によって必要な栄養が変わってくるため、猫の年齢や状態に合った質の良い食事を与えるように心掛けましょう。
また、人が食べるものは猫にとって危険なものが多いため、基本的に人間用の食事は与えない様に気を付けましょう。
かかりやすい病気を把握する
猫は一般的に腎臓関連の病気や歯周病にかかりやすいと言われています。
品種によって発症しやすい病気などもありますので、日頃からその病気に関して調べ、何かあった場合の対応方法や気を付けることを把握しておきましょう。
病気の予防として療養食やサプリメントを与えたい場合は、勝手に判断すると必要な栄養が十分取れなかったり過剰に摂取するリスクがあるため、必ず獣医師に相談して判断を仰ぎましょう。
その他
健康診断
どんなに毎日健康チェックをしていても、検査を受けることで見つかる病気などもあります。
猫がかかりやすい腎不全は、症状に気付いた時にはすでに健康な状態と比べ7割以上の機能が失われていると言われています。
最初の健康診断は去勢や避妊手術の時に受け、その後は年に一度、7歳を超えたら半年に一度くらいのペースで受けるのが理想です。
健康判断の内容や金額は動物病院によって異なるため、かかりつけの動物病院に確認をお願いします。
予防接種
感染症のリスクを避けるためにも、定期的に予防接種は受けるようにしましょう。
去勢・避妊手術
繁殖の予定がある場合を除いて、去勢・避妊手術は必ず受けましょう。
発情期によるストレスの軽減、生殖器関連の病気予防、発情期に繁殖のために家を飛び出すことの予防など、猫の健康を維持することに繋がります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
どんなに評判の良い動物病院が近くにあっても、飼い主が猫の異変に気付かずにいたら意味がありません。
愛猫にとって一番の理解者はあなたです。
チェック項目の中で関連記事として紹介したものはほんの一例です。
正確な病名や治療方法などについてはかかりつけの動物病院でご確認をお願いします。
日頃から猫に触れ、様子を観察していつもと違うと感じた場合は、まず電話で問い合わせをしてみるだけでもしてみましょう。
日頃の健康チェックと素早い対応が愛猫の健康維持と長生きすることに繋がります。