実際に猫を飼うことになった時、猫の入手方法はいろいろあります。
こだわりの猫種を飼いたい方はペットショップやブリーダーから購入したり、特にこだわりが無い方は知人や譲渡会で譲り受けたり、道端で見つけた仔猫を保護することもあるかもしれません。
この記事では、猫の入手方法についてや注意することについて紹介しています。
猫を入手する前に確認すること
猫を購入したり譲り受けたりする前に確認して欲しいことがあります。
2006年6月に「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」(以降、動物愛護法に略します)の一部が改正され、ペットショップやブリーダー、ネット通販で猫を販売する販売者は以下のような基準を満たさなければ動物を販売することができなくなりました。
1:動物取扱業の登録を行い指標を掲示していること
2:動物愛護法に定められた第一種動物取扱業の資格を有する責任者がいること
3:販売する動物について正しい知識を有し、説明や文章によって確認ができること
4:正しく管理された清潔な施設で、動物が健康に過ごせる場所にいること
5:販売する時に、生後49日を経過していること(生後49日を経過しない猫の販売、または販売のための引き渡しや展示は動物愛護法によって禁じられています)
6:販売の2日以上前に、健康に問題ないか確認していること
「1」については、個人で生まれた仔猫を販売する場合であっても必要になります。
また、知り合いから譲り受ける場合などこういった法律があることを知らない人が多いと思いますが、無料で譲る場合であっても1回以上繰り返される場合は必要になります。
このような基準を満たしていない違法業者から購入することは、猫の健康状態を保証できませんので避けましょう。
「5」に関連しますが、生後約8週齢頃まで親猫や兄弟猫と過ごしていた子の方が精神的に安定していることが多いため、最低でも生後約8週齢頃に行う1回目のワクチン接種が済んでいる子の方が安心です。
衝動的に猫を入手せず、あなた自身の生活が今までと変わることなども考慮するようにしましょう。
実際に猫を飼ってから後悔する前に知っておいた方がいいことに関してはこちらの記事をどうぞ
猫を入手する方法
猫を入手する方法はさまざまですが、近年ではペットとして飼われていた犬や猫が飼い主の身勝手な理由で捨てられることを防ぐために、2024年から店舗で販売することを禁止したフランスのような国もあります。
ここで紹介する方法については、そういったことを知ったうえで一度家に家族として迎え入れた子は最後まで責任をもって育てていくことを前提として紹介させていただきます。
ペットショップ
ペットショップは日本でも賛否両論がありますが、国内ではまだまだ利用する人は多いと思います。
猫を見る前に、店舗内のわかりやすい場所に登録業者を証明する標識の掲示がされているか確認しましょう。
悪質なペットショップの場合は掲示していません。
ペットショップにサイトがある場合はそちらも調べてみましょう。
ネットのサイトは「広告」に該当するため、「業者の氏名・名称、所在地」「動物取扱業の種別・登録番号・登録日・登録の有効期間」「動物取扱責任者の氏名」などの掲示が規定されています。
悪質なペットショップの場合は記載されていません。
また、血統書付きであることを理由に高額の子を勧めてくる場合も気を付けましょう。
血統書は「TICA(The International Cat Association)」や「CFA(Chartered Financial Analyst)」のような世界的に有名な猫血統登録団体が発行したものから、よくわからない施設団体が発行したオリジナルのものまでさまざまです。
飼い主の生活スタイルや猫種によって気を付ける病気などについて何も触れず、抱っこさせて都合のいいことばかり話して購入させようとしてくるペットショップは警戒しましょう。
購入後具合が悪くなった時の生命保証がついているかの確認もしましょう。
きちんとしたペットショップでは、購入時に法律で規定されている「対面説明が必要な18項目」の中の「適切な給餌及び給水の方法」「適切な運動及び休養の方法」「飼養又は保管に適した飼養施設の構造及び規範」の説明が口頭であります。
メリット ・純血種が購入できる
・直接見たり触ったりしてから購入できる
・ワクチン接種・寄生虫予防などがオプションでついてくることがある
・こちらの質問に対する店員の対応や知識によって、信頼できるペットショップであるかどうか判断することができる
デメリット ・猫自体の金額の他に提携している保険などに加入しなければならないこともあり高額になる
・見るだけのつもりが衝動的に購入してしまう場合がある
・ペットショップが仕入れているブリーダーの質によっては健康面に不安がある
ブリーダー
ペットショップを経由せず、直接猫を繁殖しているブリーダーやキャッテリーから購入する方法です。
こちらも第一種動物取扱の登録が必要ですので、施設見学の際にはきちんと掲示されているかを確認しましょう。
ブリーダーが取り扱っているのは一般的に「純血種」と呼ばれる猫です。
流行りの猫種をあれこれ繁殖しているブリーダーや、あまりにも多くの品種を扱っているブリーダーは、それぞれの繁殖の質が専門的なブリーダーより良くない場合があります。
また、施設を見学させないブリーダーは金儲け主義で施設が不衛生な状態であることが考えられます。
猫のことを大切に考えているブリーダーは、いい加減な飼い主には猫を譲ろうとしません。
そのため、飼い主の住居や生活スタイルなどについての質問をしてきます。
そのような質問もなく、猫のいい点ばかりを話し購入を促すようなブリーダーからは猫を購入しない方がいいです。
メリット
・純血種が購入できる
・直接猫を見たり触ったりでき、施設が清潔であるかの確認をしてから購入できる
・きちんとしたブリーダーであれば、感染症や寄生虫の感染率が低い
・ペットショップよりも生まれてから親猫や兄弟猫と過ごす期間が長い場合が多く、精神的に安定している子が多い
・こちらの質問に対するブリーダーの対応や知識によって、信頼できるブリーダーであるか判断することができる
デメリット
・「不妊手術をすること」や「猫アレルギーがないこと」など条件を設けている場合がある
・猫の品種や血統によっては高額になる
・施設見学を条件にしている所もあり、住んでいる場所によっては見学に行くのが大変
ネットで購入
インターネット上のサイトは「広告」に該当するため、まずはそのサイトに「業者の氏名・名称、所在地」「動物取扱業の種別・登録番号・登録日・登録の有効期間」「動物取扱責任者の氏名」などの掲示がされているか確認しましょう。
業者であれ、個人であれサイト内に「第一種動物取扱業者」の詳細が記載されていない場合は、悪質業者と疑った方がいいでしょう。
また、特定商取引法により「特定商取引に関する表示」を掲載する義務もあるため、そちらも確認しましょう。
不安に思うことなどをいろいろ質問し返答を確認しましょう。
見学を希望した場合に猫や飼育環境を見せてくれる方が安心できます。
ネットの場合、サイトやメールが突然無くなってしまう可能性もあるため、ペットショップやブリーダーから購入するよりも慎重になり、少しでも疑わしい点があれば購入を控えましょう。
動物愛護法により、生後49日を経過していない猫の販売や引き渡し、展示は禁止されています。
金儲けのために生後1ヶ月ほどの仔猫を掲載して購買欲を煽っている場合も気を付けてください。
そして、ネットで購入した場合であっても「対面説明が必要な18項目」は義務付けられているので、支払ったり猫を譲り受けたりするのはこの確認で対面する時にした方がいいかもしれません。
メリット
・純血種が購入できる
・ペットショップやブリーダーの仲介サイトの場合、疾病補償や死亡補償が付いていることが多い
・写真を見て気軽に好みの猫を探すことができる
デメリット
・写真で見た子と実際に来た子が違ったり、不健康だったりする可能性がある
・個人の場合は具合が悪くなったり死亡した時の補償が無い可能性が高い
・生体代を支払った途端、連絡が取れなくなるなどの詐欺の場合がある
動物愛護団体から譲り受ける
動物愛護センター、動物愛護団体、保健所などから捕獲されたり保護された猫を里子として引き取る方法です。
猫自体の費用は無料であることが多いですが、不妊手術やワクチン接種費用が必要な場合があります。
動物保護団体が居住部分と区分できる飼養施設を保有している場合は、「第二種動物取扱業」として届け出ることが義務付けられています。
動物愛護団体から譲り受ける際に「譲渡費用」がかかる場合があります。
これを聞いて「殺処分されてしまうかもしれない猫を保護するのに、お金を取るのか」と異論を唱える人が少なからずいますが、猫は命あるもののためその猫達のフードやトイレ砂などの消耗品やワクチン代、不妊手術代、それをお世話するスタッフや施設の管理費など必要経費がかかることを理解しましょう。
きちんとした動物愛護団体であれば、過去につらい経験を持つ猫達が次にいく家では幸せになって欲しいと願っています。
飼い主としてさまざまな条件をクリアしなければならないため、思うように猫を入手できない場合もあります。
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猫の里親になる条件はどうして厳しいのか
目次 猫の里親の条件 猫の里親になる条件はどうして厳しいのか 猫の里親になるために考えておくこと まとめ 猫の里親の条件 猫の里親として断られる条件 提出を求められるもの・その他 猫の里親になる条件は ...
メリット
・猫自体の費用は基本的に無料
・里親募集型の猫カフェがあれば、実際に猫に触れ合ってから里親になることができる
・殺処分される猫を減らすことができる
デメリット
・雑種が多い
・保護された状況や保健所にいた場合は、人に対して強い警戒心を持っていることがある
・虐待目的の里親詐欺といった悪質なケースを防ぐため、「譲渡前講習会」を受けることを義務付けたり、さまざまな条件を設けている保護団体もある
知人から譲り受ける
知人から譲り受ける場合、基本的に費用はかかりません。
わずかであっても金銭を要求してくる場合は動物愛護法違反の可能性があり、特に繁殖を頻繁に行いその度ごとに費用を取っている場合は、第一種動物取扱業者と同じ扱いになるため、上記の「猫を入手する前に確認すること」で述べた項目を満たしている必要があります。
無知で行っている場合もあるかもしれませんが、動物愛護法について話してそれでも行動を改めない場合はその方からは譲り受けない方がいいかもしれません。
金銭のために自分の猫に無理な繁殖を繰り返し行う行為は、猫を大切にしているとは言えないからです。
また、そのような行動をする方は、きちんとしたブリーダーがしないような耳折れ猫同士の交配や短足猫同士の交配などを金銭目的で行い、生まれつき病気の多い仔猫を買わせるようなことをする可能性があります。
また、猫の飼育費用は年間8~10万円ほどかかります。
知人だからと安請け合いして、飼い主としての心構えや設備などいろいろな準備ができていない状態で譲り受けることは止めましょう。
生まれたばかりの仔猫は免疫力が弱く、早くから母猫や兄弟猫から離すのは性格にも問題が出るため、早くても生後2~3ヶ月後に譲り受けるようにしましょう。
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猫の成長とその時期に必要なものや気を付けること
目次 猫の授乳期:誕生~生後約4週目(人年齢0~1歳) 猫の離乳期:生後約3週目~生後約10週目(人年齢1~5歳) 猫の成長期:生後約9週目~生後約半年(人年齢5~9歳) 猫の準備期:生後約半年~生後 ...
メリット
・譲り受けるのにお金はかからない
・譲り受ける前に写真を見せてもらったり、性格や好みを聞くことができる
・雑種だけでなく、純血種の場合もある
デメリット
・金銭を要求される場合がある
・不妊手術やワクチンをしていない場合が多い
・イエネコ同士で生まれた仔猫か、外で妊娠して生まれた仔猫なのかわからない場合があり、病気を持っている可能性がある
捨て猫を保護する
外で暮らしていた猫を自分の家に迎え入れてあげる方法です。
入手するための費用は無料ですが、野良猫のほとんどがノミやダニといった外部寄生虫や回虫などの内部寄生虫を持っていることが多いです。
また、感染症にかかっている可能性もありますので、すでに飼い猫がいる場合はすぐに一緒にしてはいけません。
動物病院に連れて行き、虫の駆除や検査をして年齢的に大丈夫であればワクチン接種もしましょう。
感染症は感染能力が非常に高く、家に迎え入れてから1ヶ月以上経ってからでなければ完全に陰性であるかの検査ができない場合もありますので、その間他の猫がいる場合は感染症がうつらない様に細心の注意を払う必要があります。
野良猫だったため、室内にずっといることに慣れないうちは外に出たいと鳴くかもしれませんが、一度家猫にすると招き入れた以上、病気や感染症、交通事故や動物虐待といった危険を考え、完全室内飼いにしましょう。
動物病院に行った時にはマイクロチップが埋め込まれていないか確認しましょう。
2022年6月からはマイクロチップを埋め込むことが義務付けられていますので、首輪をしていなくてもどこかのご家庭の飼い猫の可能性もあります。
メリット
・保護するのにお金はかからない
・殺処分される猫を減らすことができる
デメリット
・雑種が多い
・寄生虫や回虫が寄生していたり感染症に感染している場合があり、動物病院に連れて行った時の初期費用が高額になることがある
・なかなか懐かない場合もある
まとめ
いかがでしたでしょうか。
猫は命あるものです。
どのような方法で入手するのであれ、一度飼うと決めて家に迎え入れたのであれば、猫生を全うするまできちんとお世話をしてあげて欲しいです。
一時の軽い気持ちで飼って、都合が悪いからすぐに手放すという行動はとても悲しくなります。
この記事を最後まで読んでいただいた方の中には、そのような方はいないと信じています。