猫を保護した時にすでに妊娠していたり、飼っている猫に仔猫を産ませたいと思った時、妊娠中の猫にはどのような変化が見られるのでしょうか。
また、私達ができることや気を付けることはあるのでしょうか。
この記事では、猫の妊娠について紹介しています。
猫の妊娠についての基本知識
野良猫を見ると人の手を借りなくても妊娠から出産までをこなしますが、何かあった場合に手を差し伸べたり、生まれた仔猫の里親を探そうと考えている方は、ある程度出産日を把握し準備を進めていくことができるため、基本的な知識を知っておいた方が良いでしょう。
猫が妊娠できる年齢
メス猫の本格的な発情期は生後約5ヶ月くらいからと言われていますので、猫が妊娠できる年齢は一般的には生後約半年くらいからですが、餌などが改良されて栄養価が高くなっていることから早熟な子では生後4ヶ月くらいで発情期がくる子もいるようです。
そのため、オス猫と同居していたりうっかり外に出てしまった場合、生後5ヶ月程の子でも妊娠する可能性があります。
発情する季節は、2~4月の春ごろと6~8月の夏ごろがピークで年2、3回あります。
猫の妊娠期間
猫の妊娠期間は、個体差がありますが一般的には約2ヶ月ちょっと(60~68日)と言われています。
オス猫と交配した日がある程度分かればゆっくり準備を進めることができますが、猫のお腹が目立ち始めるのは妊娠してから1ヶ月程経ってからなので、この頃に気付いた場合は約1ヶ月後には出産という大きなイベントを迎えることになります。
発情期を迎えて夜鳴きしていたのにピタリと止んだなど猫の行動に変化がなかったか振り返り、分娩が始まってから慌てないようにおおよその出産日を推測しておきましょう。
猫が一度の出産で生む仔猫の数
猫は一度の出産で1~8匹程生むことがありますが、平均的には3~5匹です。
出産時にすべての仔猫が生まれたかを判断するためにも、出産する前に病院でしっかり仔猫の数を確認しておくことをおすすめします。
仔猫の毛色がバラバラで生まれるのは何故か
猫には月経が無く、交尾によって排卵が行われる「交尾排卵動物」で、オス猫と交尾した場合は高い確率で妊娠します。
通常妊娠したメス猫は次の繁殖期になるまでオス猫を受け入れませんが、妊娠中であっても交尾自体は可能なため受胎した場合は複数の妊娠が成立してしまい、父親が異なる仔猫を同時にお腹の中で育てるという現象が起きます。
このため、野良猫が全く毛色の違う仔猫を一度の出産で生むことがあります。
流産や早産
流産
胎子、または胎子の一部が母体内で死亡してしまうことで、妊娠のどの段階でも起こる可能性があります。
妊娠末期の約2%に見られ、流産したうちの約20%が奇形だと言われています。
早産
妊娠60日以内に出産することで、通常よりも高い確率で死産になったり早期に新生子が死んでしまいます。
偽妊娠(ぎにんしん)
偽妊娠とは、妊娠していないのに母乳が出たりするなど仔猫がお腹の中にいるような振る舞いをすることで、交尾したにも関わらず妊娠しなかった母猫に見られますが、猫では稀だと言われています。
偽妊娠は、交尾の後黄体(おうたい)という排卵により成熟した卵子が放出された後に一時的に発達する小さな内分泌組織が数週間だけ活性化することで成立します。
妊娠している場合の黄体活動期間は約65日ですが、偽妊娠の場合は交尾後3週間を境にして急激に減り、交尾後5週間後までに不活性化します。
偽妊娠は病気ではないので、基本的にはそのまま何もしなくても問題ありません。
妊娠中の母猫の変化
・妊娠20日頃
乳首の色がピンク色になり、つわりが始まる時期です。
1週間ほど食欲が落ちることもありますが、個体によっては全くいつも通りに過ごす子もいます。
・妊娠30日頃
乳房が膨らんでお腹が目立ってきます。
ただし、肥満気味の子はわからない場合もあります。
・妊娠40日頃
仔猫がかなり育ってきているため食欲が増加します。
お腹が重たくなってくるため、母猫の動きが鈍くなってきます。
肥満気味の子でもお腹が目立ってきます。
・妊娠50日頃
お腹の中の仔猫の動きが活発になってきます。
母猫のお腹を触ると仔猫が動いているのがわかるようになります。
・妊娠60日頃
分娩の2、3日前から母乳が出るようになり、母猫の動きと食欲が低下します。
体温が1度下がってから24時間以内に出産が始まるため、この頃毎日体温を測っているとおおよその分娩のタイミングが把握できます。
・妊娠70日頃
一般的にこの頃にはすでに出産は終わっていますが、初産の子は妊娠期間が長くなる傾向があります。
母猫の様子を観察し、陣痛や破水が起きていないか注意深く見守りましょう。
・出産直前
母猫の落ち着きが無くなり、出産場所を探したり陰部を何度も舐めるような行動が見られます。
私達にできることや気を付けること
出産前に検診を受ける
猫は安産であると言われているため受診しない方もいるようですが、生まれる仔猫の数の確認や母猫の健康状態確認のためにも出産前に検診を受けることをおすすめします。
また、難産に陥ってしまった場合などに、救急外来を受け付けてくれるかどうかもあらかじめ確認しておきましょう。
妊娠中はお腹の仔猫のために母猫には十分な栄養が必要なので、検診の際におすすめのフードなどを聞いてみるのもいいかもしれません。
母猫が安心して出産できる場所を確保する
出産前の母猫は警戒心が強くなったり攻撃的になることがあるため、できれば母猫専用の部屋や場所を確保してあげましょう。
出産のための産箱は、母猫が横たわるのに十分な大きさのダンボールの中にビニールを敷き、その上に新聞紙やタオルを敷くと汚れてもすぐに取り除いたり取り換えたりすることができます。
ダンボール箱の側面は、生まれた仔猫が落ちないくらいの高さが理想です。
また、うす暗い場所を好むため産箱は毛布で覆えるような構造の方が母猫が落ち着きます。
部屋の温度は22度、湿度は65~70%くらいが理想です。
母猫の体重管理
妊娠してから1ヶ月くらいの食事量は通常通りで問題ありませんが、1ヶ月を過ぎたあたりから食事量を増やすようにしましょう。
しかし、食べ過ぎて太ってしまうと合併症などを引き起こし難産になる可能性が高くなるので、理想体重の40%以上太らないように注意しましょう。
出産が近づくと一度にたくさん食べることができなくなるため、少量の食事を数回に分けて与えるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
猫は安産と言われており、飼い主がいろいろと手を差し伸べなくてもあまり問題はありませんが、万が一の時に慌てない様にあらかじめ基本的な知識は知っておいた方が安全です。
母猫にとって妊娠から出産までの期間は身体にとても負担がかかりますので、安心して出産できるようにサポートしてあげましょう。