猫について

猫の出産について

愛猫に出産させると決めたら、それは猫にとっても飼い主にとっても大きなイベントになります。出産は基本的には母猫任せで大丈夫ですが、安心して元気な子猫を生んでもらうために私達に出来ることや気を付けることはあるのでしょうか。この記事では、猫の出産についてまとめました。
猫の出産について
目次

猫の出産についての知識

猫の出産についての知識

 猫が出産にかかる時間

妊娠したメス猫は、妊娠60日を過ぎたあたりから出産の準備をし始めます。出産前には母猫の食欲が急激に落ち母乳が出始めます。陣痛(じんつう)が始まって20~60分くらいで最初の子猫が生まれます。複数生まれる場合は、頭数や個体差はありますが約15~30分程の間隔を空けて次の子猫を生みます。猫の出産にかかる時間は長くても3時間と言われています。1匹ずつ羊膜に包まれた赤ちゃんが出てきて、母猫はその羊膜を舐めて羊水を破り子猫の鼻先を舐めて呼吸を促し、へその緒を嚙み切ります。外に出てきた胎盤や子猫を包んでいた羊膜は、栄養補給を兼ねて母猫が食べてしまいます。

 猫の出産過程

猫の出産過程は、おもに下記の4つに分かれています。

陣痛期

人間と同じように猫にも陣痛があります。陣痛とは、子宮収縮に伴う痛みのことで個体差がありますが、12秒~90分程度続きます。この時、子宮伸縮に伴い母猫の腹部が動くのを見ることが出来ます。母猫には自分の股間をグルーミングしたり、苦しそうに口で息をしたり、転がったりグルグル歩き回ったりといった行動が見られます。また、体温が1~2度低下すると言われており(平熱は38.6度くらいです)、低下してから24時間以内に出産が始まるのが一般的です。正常な場合は、膣から透明なねばねばした粘液を分泌するようになりますが、悪臭付きの黄色い分泌物や暗緑色~茶色の液体が出ている場合や陣痛が始まって60分経っても出産が始まらない時は、難産や流産の可能性があるため獣医師の診断を仰ぎましょう。

開口期

収縮した子宮によって胎子が産道を通過し、膣の開口部で一時的に止まる時期を開口期と呼びます。子猫の頭が出ているのに5分以上出てこない場合や大量の出血が見られる場合は獣医師の診察を受けることをお勧めします。

産出期

膣口に留まっていた胎子を外に生み出す時期を産出期と呼びます。約15~30分間隔で次々と生み出します。猫の場合、およそ7割が頭から産出しますが、残り3割が尻尾から産出します。母猫が初産の時、新生子の羊膜を舐めとらなかったりへその緒を切らずに身体の位置を変えて新生子を引きずったりすることがあるため、基本的には不要ですが様子を見て介助をしてあげましょう。

後産期(あとざんき)

子猫を生んだ後、胎盤が産道から出てくる時期のことを後産期と呼びます。胎盤は母猫が食べてしまうのが普通ですので問題ありません。生まれてきた子猫の数と出てきた胎盤の数が合わない場合は、母猫の体内に胎盤が残っている可能性があり、これは子宮関連の病気になる原因となるため獣医師の診断を受けることをお勧めします。

 猫の難産

猫は安産だと言われていますが、何らかの原因で難産になることもあります。陣痛が始まって60分経っても最初の子猫が生まれてこない場合は獣医師の診察を受けるようにしましょう。

母猫に原因がある場合

「子宮無力症」という子宮の筋肉が正常に収縮しない病気であったり、母猫の骨盤が小さくて胎子が通過できないことが原因になることがあります。

胎児に原因がある場合

奇形によって胎子の身体の一部が異常に大きくなっている場合や、1匹だけ異常に大きく成長していることで産道を通過できないことが原因になることがあります。

 一度の出産で産まれる子猫の数

猫が一度の出産で産む子猫の数は、1~9匹程で平均的には3~5匹が多いようです。猫は発情期に複数のオス猫と交尾することで複数の妊娠が成立する「交尾排卵動物」です。生まれた子猫の数が多い場合は、母猫の乳首は8個で中にはあまり母乳が出ない乳首もありますので、子猫の体重や様子を見て飼い主が授乳の介助をする必要があります。また、複数の妊娠が成立するため、生まれた子猫の被毛色がバラバラの場合があります。

 子猫の死亡率

猫に関するニュースで「多頭飼い崩壊」というのを見たことがある方は多いと思いますが、こうなってしまう原因の1つに猫の高い繁殖能力があります。自由に交配できる環境にいるメス猫の場合、10年間で50~150匹の子猫を出産するという試算もあります。メス猫1匹でこの数ですから、生まれた子猫の中にメス猫がいればその数だけ猫が増えていきます。猫がこれほどの繁殖能力を持っているのは、子猫の死亡率がとても高いからと言われています。もともと猫は砂漠地帯で暮らしていましたが、食糧不足・水不足といった自然環境によるものや猛禽類(もうきんるい:ワシ・タカ・ハヤブサ・フクロウの仲間のこと)などによる捕食が原因で死亡することが多く、現代においては交通事故や犬・カラスなどによる捕食、上記したような多頭飼い崩壊などによって増えすぎた猫の殺処分などが原因となっています。純血種の子猫の生後2ヶ月迄の死亡率は「死産率+新生子死亡率」で約19.2%、野良猫の場合は、生後半年迄に約75%の子猫が死亡したという調査結果が報告されているようです。

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出産後の母猫の行動や病気

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 子猫への授乳

出産直後から母猫は母乳を分泌し子猫達に与えます。生まれたばかりの子猫は免疫力が無く初乳に含まれる免疫抗体をたくさん摂取させるため、寝ている子猫を舐めて起こして授乳させようとする行動も見られます。母猫の血液型がB型で父猫の血液型がA型の場合は、「新生子溶血」という症状を引き起こす可能性が高いため子猫に初乳を与えてはいけません。詳しくは下記の関連記事を参照願います。

 子猫を舐める

母猫は生まれたばかりの子猫をよく舐めますが、顔を舐める時は授乳を促し下腹部を舐める時は排泄の促進の意味があるようです。

 子猫の連れ戻し

子猫が可愛くてついつい触りたくなってしまいますが、子猫の甲高い声を聴いた母猫はすぐに子猫を連れ戻しにきます。子猫が自力で戻れそうにない場合で母猫が連れ戻しに来ない時や、途中まで連れ戻して置いていった子猫がいた場合は母猫の元へ戻してあげましょう。

 育児放棄

強いストレスを持っていたり人間への愛着が過剰な猫の場合、上記のような行動を取らない母猫がおり、子猫が低体温や栄養不足となって死亡することがあります。猫によっては、出産後数日で発情し相手を探すために子猫を放っていくことが15~20%ほどあるようです。このような行動が見られた場合は母猫に代わって飼い主が介助する必要があります。

 出産後の母猫の病気

出産は母猫の体力を消耗します。しばらく食欲が落ちますが、この時期は普段の倍くらいの栄養素が必要と言われているため、カルシウムが不足しないような栄養のあるフードを小まめに与えることが必要です。また、産後体調がよくない様子が見られた場合は獣医師の診察を受けることをお勧めします。

子癇(しかん)

妊娠の最終週~出産後4週間以内に起こる痙攣(けいれん)の症状です。子猫の数が多くて母乳とともにカルシウムが体外に出たり、出産前に過剰なカルシウム投与が行われた場合に、細胞外液中のイオン化カルシウム濃度が低下したことによって引き起こされます。数秒間で治まりますが、母猫が突然横転して足を伸ばし、涎を垂れ流しながら全身を震わせ、何回も再発することがあります。早急に動物病院に行き治療を受ける必要があります。

産褥熱(さんじょくねつ)

出産時に母猫の膣内の粘膜や子宮に傷がつき、そこから細菌が侵入して高熱が出る症状を産褥熱と言います。

出血

出産時や出産直後に少量出るのは問題ありませんが、出産が完全に終わった後も出血が続く場合は動物病院で診察を受けましょう。

無乳症

出産しても母乳が出ない症状です。初産や早すぎる帝王切開などが原因と言われ、この症状の場合は子猫に人工哺乳を行う必要があります。

乳腺炎

母猫の乳首に炎症が発生する症状で、茶色く変色したものや血液が混じった母乳が出ることがあります。急性乳腺炎では母猫の乳首が腫れて熱を持ち、痛みから授乳を拒むこともあります。

子宮筋炎

体内に胎盤が残ってしまったり、胎子が残ってしまったことで子宮内膜に炎症が起こる症状です。発熱や悪臭を放つ緑色の排出液が股間から出てくるため獣医師の診察を受けましょう。

乳腺腫瘍

転移しない「良性腫瘍」と転移する「悪性腫瘍=乳がん」があり、乳腺の細胞が異常に増えたことでこぶ状の腫瘍を形成する症状で、生まれてから最初の発情を終えたメス猫で良性腫瘍の「線維乳腺腫」を発症しやすいと言われています。猫の乳腺に発症する腫瘍のうち、約8割が乳がんだとされており、特に不妊手術を受けていない猫の発症率が高いと言われています。

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私達に出来ることや気を付けること

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 出産前に検診を受ける

猫は安産なので受診しない方もいるようですが、生まれる子猫の数の確認、母猫の健康状態確認のためにも出産前に検診を受けることをお勧めします。また難産に陥ってしまった場合などに、救急外来を受け付けてくれるかどうかもあらかじめ確認しておきましょう。出産後も母子ともに健康であるか確認するようにしましょう。

 両親の血液型を把握する

出産をすると決めた時に、両親の血液型を調べるようにしましょう。雑種の場合はほぼA型ですが、純血種の場合は品種によってはB型やAB型の子がいます。母猫がB型で父猫がA型の場合、生まれてくる子猫が母猫の初乳を飲むことで「新生子溶血」という症状を引き起こす可能性があります。

 育児放棄の場合に備える

大抵の場合は飼い主の介助は必要ありませんが、稀に育児放棄をする母猫もいるため、出産がそろそろだと感じたら「清潔なタオルを2、3枚」「消毒したハサミ」「木綿糸」「お湯」を用意しておきましょう。万が一の事態に備えてかかりつけの動物病院に連絡を入れておくといいでしょう。羊膜を舐めとらない場合は清潔なタオルで優しく拭くことで羊膜を破り、へその緒を嚙み切らない場合は、子猫から3~5cmの箇所を木綿糸で縛って止血し、縛った箇所の母猫側を消毒したハサミで切ります。処置が済んだら母猫の側に戻すようにしましょう。

出産後、母猫が子猫の側にいない、世話をしない場合は、子猫の低体温症を避けるためペット用のヒーターや湯たんぽ、ぬるま湯を入れたペットボトルなどを用意し子猫の側に置く、子猫用ミルクを哺乳瓶で与える、子猫の肛門の近くをガーゼで軽く叩いて排泄を促すなどの補助を母猫の代わりにする必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。猫は安産と言われており、飼い主がいろいろと手を差し伸べなくても基本的には母猫に任せて問題ありません。しかし、万が一の時に慌てないようにあらかじめ基本的な知識は知っておいた方が安全です。子猫はとても可愛いですが、最後まで自分で育てるもしくは里親を見つけるといった責任が持てない場合は、去勢・避妊手術をするのは飼い主の義務です。家族がいる場合は、家族としっかりと話し合った上で出産するかどうかを判断しましょう。

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