猫の気管支炎とは、喉と肺を結ぶ管である気管から枝分かれした気管支に炎症が起こる病気です。 今回は、猫の気管支炎についてまとめてみました。 |
猫の気管支炎について
気管は喉と肺を結ぶ管のような器官で、C字型の軟骨が連続して外側を囲み、首の動きに合わせて変形するように出来ています。この気管から枝分かれした部分が気管支で、炎症が起こると組織が腫れ、管の直径が狭くなることで酸素と二酸化炭素の交換がうまくいかなくなります。
喘息発作
症状が突然起こった後、元の状態に戻る場合
慢性気管支炎
症状が長期間(2ヶ月以上)にわたりだらだらと続いている場合
猫が気管支炎になった時の症状
猫の気管支炎は死に至るケースは極めて低いですが、症状が悪化すると他の症状を併発したり、なんといっても愛猫が苦しい思いをしてしまうので、下記のような症状が見られた場合はすぐに動物病院に行きましょう。
咳が出る
症状として一番現れるのが咳です。激しい時は嘔吐することもありますが、毛玉を吐く時の様子と似ているため気管支炎を患っていると気づかないケースがあるようです。
くしゃみ、鼻水、目ヤニ、発熱
気管支炎の原因によっては、咳の他にくしゃみや鼻水、目ヤニ、発熱を伴うことがあります。症状が続くと食欲や元気がなくなってきます。
胸に痛みを感じ、触られるのを嫌がる
症状が悪化すると胸部に痛みを感じ、飼い主に触られるのを嫌がったり、胸を圧迫するような姿勢をしなくなります。
呼吸困難
症状がさらに悪化すると、肺炎などを併発し呼吸困難を引き起こします。また、血液中の酸素濃度が低下して、舌や歯茎、目の粘膜などが白くなる「チアノーゼ」という状態になります。
猫の気管支炎の原因
感染症
猫の気管支炎のもっとも多い原因が、ウイルスや細菌が原因の感染症です。具体的には、猫ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペス)、猫カリシウイルス感染症、猫クラミジア感染症などです。また、歯周病が症状を悪化させることがあります。
寄生虫
フィラリアや毛細線虫などの幼虫が気管に入り、炎症を引き起こすことがあります。
化学薬品などの刺激物
埃や化学薬品などの刺激性の強い煙などを吸い込んだことで気管支炎になる可能性があります。目に見えない状態で、常温で蒸発し気体となる揮発性有機化合物が気管に刺激を与え続けますが、環境中のあらゆる物質から放出され目に見えないため、原因としては見過ごされている傾向があります。慢性気管支炎の多くが原因不明とされているのはこのことからではないかと言われています。
異物の誤飲
気管支炎は、気管支が傷つくことで発症します。異物を飲み込んだ時に傷がつき気管支炎になる可能性があります。
猫が気管支炎にならないための対策
混合ワクチンの接種
「三種混合ワクチン」は、ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペス)、カリシウイルス感染症、パルボウイルス感染症に対応したものです。体内に抗体を作ることにより、ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペス)に感染しても症状が重くならずに済みます。
一度感染してしまった場合はキャリア猫となってしまうため、定期的なワクチン接種が望ましいです。
完全室内飼いにする
外には感染症にかかってる野良猫などがいて、せっかく混合ワクチンを接種していてもうつされる可能性があります。外に出てしまわないように窓やドアなどの施錠管理を徹底しましょう。
部屋の整理
部屋を整理することで寄生虫や埃が減少し、異物の誤飲を防ぐことが出来ます。寄生虫に関しては、定期的に予防薬を使用することをお勧めします。また、殺虫剤のようなスプレー缶はいたずらして誤って吸い込んだりしないように、猫の手が届かないところにしまいましょう。
猫の気管支炎の治療
治療は動物病院によって様々です。
詳しくはかかりつけの動物病院でご確認をお願いいたします。
基礎疾患の治療
感染症や寄生虫など他の病気による気管支炎の場合は、まずそちらの基礎疾患の治療を優先します。歯周病を患っている場合は、症状を悪化させる可能性があるためこちらも併せて治療を行います。
環境の改善
気管支炎の原因が誤飲や毒物の吸引などの場合は、生活環境の改善をします。また、肥満は症状を悪化させますので太りすぎの場合はフードを変えダイエットをすることも効果的です。
対症療法
猫の気管支炎は、症状をやわらげるための抗生物質の投与や酸素吸入、気管支拡張薬の投与など、その時の症状にあった治療を行います。治療中は栄養補給を十分にし、暖かい部屋で安静にさせることを心がけましょう。頸部への刺激になるため、治療中は首輪を外した方が良さそうです。
まとめ
猫の気管支炎は、重症化すると数回の通院が必要になり治療費が嵩みます。猫が何度も咳き込んでいるようでしたらすぐに病院につれていき、部屋の環境の改善に努めるようにしましょう。