猫の低カルシウム血症とは、血液中のカルシウム濃度が低下してしびれや痙攣をおこす病気です。 今回は、猫の低カルシウム血症についてまとめてみました。 |
猫の低カルシウム血症について
猫は、人の数十倍のカルシウムを必要とします。そのうちの99%は骨と歯の形成に使われ、残りの1%は筋肉の収縮、代謝の調整、神経細胞膜におけるナトリウムの透過といった重要な役割を担っています。
骨の形成には、カルシウムと結合するリンが重要な働きをしています。リン1に対してカルシウムが1~2のバランスが崩れると様々な症状が現れます。カルシウムがリンに対して多くなると、内臓や骨の周りにカルシウムが付着してしまい、一度付着したものは取り除くことが出来なくなります。逆にカルシウムがリンに対して少なくなると骨折しやすくなったり、慢性腎疾患の進行を促進してしまいます。また、神経細胞膜におけるナトリウムの透過性が増加して異常な興奮が発生し、「テタニー」と呼ばれる病的な痙攣を引き起こしたり、意識を消失したりといった症状を引き起こします。
猫が低カルシウム血症になった時の症状
症状が悪化すると痙攣や失神といった症状を引き起こしてしまう可能性があります。下記のような症状が見られた場合は、すぐに動物病院に行きましょう。
食欲不振
嘔吐
白内障
過呼吸
筋肉の硬直
耳や顔などの部分的な痙攣
不整脈や失神
テタニー
猫の低カルシウム血症の原因
基礎疾患
腎不全、マグネシウム血症、甲状腺機能亢進症、急性膵炎、腸管からの吸収不良などが影響して発症してしまうことがあります。
栄養不良
カルシウムやカルシウムの吸収を促進するビタミンDの摂取不足で低カルシウム血症を引き起こすことがあります。
出産
猫では稀ですが、出産や授乳で子猫にカルシウムを奪われることによって低カルシウム血症を発症することがあります。
中毒
不凍液であるエチレングリコールやクエン酸、リンを含むフリート浣腸などの有毒物質を誤って接取してしまうことで低カルシウム血症を引き起こすことがあります。
猫が低カルシウム血症にならないための対策
栄養補給
カルシウムやビタミンDが不足している場合は、摂取できるように食事を工夫する必要がありますが、逆に過剰摂取になるとまた違った症状が引き起こされるため、獣医師に相談の上栄養補給を行ってください。
有害なものに近寄らせない
猫が中毒を引き起こすような物質は、誤って摂取しないように管理しましょう。
猫の低カルシウム血症の治療
治療は動物病院によって様々です。
詳しくはかかりつけの動物病院でご確認をお願いいたします。
基礎疾患の治療
腎不全、マグネシウム血症、甲状腺機能亢進症などの基礎疾患が原因となっている場合は、そちらの治療を優先的に行います。
フードの改善
カルシウムやビタミンDの摂取不足が原因の場合は、栄養状態を改善することに努めましょう。リンとのバランスやカルシウム、ビタミンDが過剰摂取にならないように獣医師に指示を仰ぎ、サプリメントなどを利用して栄養素を補います。
応急処置
猫がテタニーを起こしているような時は、静脈注射などで応急処置を行います。痙攣が治まってからもしばらく入院して様子を観察することになります。
まとめ
猫の低カルシウム血症は、重症化すると失神したり痙攣を引き起こすこともある怖い病気です。いつもと違った症状が見られた場合、すぐに動物病院に連れて行ってあげてくださいね。