マンクス症候群とは、脊椎(背骨)の脊髄不全や奇形などによって様々な障害が引き起こされる遺伝性疾患です。 今回は、マンクス症候群についてまとめてみました。 |
マンクス症候群について
マンクス症候群とは、名前の通り「マンクス」という尻尾の無い猫種と、被毛の長さ以外マンクスと多くの遺伝子を共有している「キムリック」がかかりやすい特有の遺伝性疾患です。生まれた子猫が発症するかどうかは生後半年近くにならないとわかりませんが、両親が「ランピー」と呼ばれる尻尾が全くない個体であった場合、子猫が生まれなかったり、高い確率でマンクス症候群を発症すると言われています。
マンクス症候群になった時の症状
生まれた時には無症状であっても、半年後に機能障害を発症する場合があります。下記の様な症状があるため後ろ足に力が入らなかったり、麻痺や失禁、排便障害が現れます。
仙骨の無形性や異形成
仙骨とは、脊椎の下の方にある大きな三角形の骨で、骨の上部は腰椎の最下部と繋がっていて、下部は尾骨と繋がっています。
仙髄欠損
仙髄とは、仙骨(仙椎)の中を通る神経です。この仙髄は、お尻から後ろ足の裏側の神経器官や排尿、排便器官のコントロールを担っています。
鎖肛(さこう)
先天性の奇形で、肛門が狭くなったり欠落しています。
マンクス症候群の原因
短い尻尾を持ったマンクスの20%で尻尾以外の先天的奇形が見られ、奇形を持つマンクスのうち尻尾が全く無い「ランピー」が90%を占めると言われています。
このマンクス症候群の原因は、T-boxタンパクの生成に関わる遺伝子の変異とされており、骨の形成不全の結果、尻尾が短くなったり脊椎の奇形や神経障害を引き起こすと言われています。
マンクス症候群にならないための対策
マンクス症候群は遺伝性疾患のため、根本的な予防法はありません。
しかし、これまでの研究から尻尾がない「ランピー」同士の交配や3代続けての交配においてマンクス症候群を発症することが確認されています。専門家の知識や指導がない場合は交配をしないこと、「マンクス」や「キムリック」を飼いたい場合は、知識が豊富で遺伝性疾患について配慮している信頼のおけるブリーダーから入手することをお勧めします。
マンクス症候群の治療
残念ながら、マンクス症候群は遺伝性疾患のため、根本的な治療法はありません。愛猫がマンクス症候群を発症した場合は病気と付き合いながら暮らしていくことになります。
診断はCTスキャンやX線検査、MRIなどによって行います。鎖肛など外科的治療が必要な症状もあるため、獣医師やブリーダーに症状の緩和についてや病気との暮らしについてご相談されることをお勧めします。
まとめ
「マンクス」や「キムリック」は、特有の遺伝性疾患があり繁殖が難しいため、日本国内においては希少でなかなかお目にかかれない猫種です。そのため、マンクス症候群については知識として留めておくにすぎないかもしれません。しかし、海外では「ラビットキャット」と呼ばれ人気のある猫種ですので、もし入手したい方がおられましたら参考にしていただければ幸いです。