猫の被毛は体温の調節をしたり、皮膚を守ってくれたりと大事な役割を果たしてくれていますが、猫が皮膚病にかかってしまうとその大事な被毛が抜けてしまったり、皮膚自体に発疹などが出来たりします。 皮膚病にはどのような種類があるのか、原因は何かについてまとめてみました。 |
猫の皮膚病の種類
猫の皮膚病は、様々な原因により発症します。
皮膚が炎症を起こして脱毛や痒みを伴うと、猫は舐めたり掻いたりしてしまい、傷口から細菌やウイルスが侵入しさらに重篤な病気を引き起こしてしまう可能性があります。
猫の皮膚病の一部を紹介します。
アレルギー性皮膚炎
食物、花粉、ノミ・ダニ、ハウスダストなどのアレルゲンに過剰に反応することでアレルギー性皮膚炎を起こします。
舐性皮膚炎(しせいひふえん)
猫が身体の一部分を舐め続けることで、脱毛したり炎症を起こしたりします。
皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)
カビが皮膚に生える病気です。
疥癬症(かいせんしょう)
ヒゼンダニ(疥癬虫)によって引き起こされる病気です。
ネコ座瘡(ざそう)
猫の顎に出来るニキビです。
猫が皮膚病になった時の症状
身体をしきりに掻く、舐める
痒みを伴うため猫はしきりに身体を掻いたり舐めたりします。
耳の後ろを掻く場合は、外耳炎の可能性もあります。
フケがたくさん出る
ダニに寄生されると発疹やかさぶたが出来るほか大量のフケが出ます。
カビによる皮膚病の場合は、フケが出るほか円形脱毛症になることもあります。
皮膚が見えるくらい脱毛する
3月や11月頃の換毛期に身体全体から毛が抜けるのは問題ありませんが、身体のどこか一部分のみ皮膚が見えるほど脱毛している場合は、なんらかの皮膚の病気の可能性があります。
発疹が出る
皮膚にポツポツと発疹が見られたり、赤みが出るのは皮膚病の症状のひとつです。
ノミが寄生している場合は、発疹が出るほかブラッシングすると黒い粉状のノミの糞が出てきます。
かさぶたができる
皮膚病が原因の痒みで掻きむしってしまったり、皮膚に炎症が起きたことでかさぶたが出来ることがあります
猫の皮膚病の原因
食物性アレルギー
猫の体質によってアレルゲンとなる物質は違いますが、フードの成分が身体に合わない場合はアレルギー性の皮膚病になります。
顔や首の周りに痒みが出やすく脱毛することもありますので、初めて食べるフードの時は食後に変わった様子がないか注意深く観察しましょう。
ノミアレルギー
寄生したノミが猫の血を吸う時の唾液がアレルゲンとなり痒みが生じます。
ノミは猫の身体に寄生すると1日に数個~20個の卵を産みます。
お腹や背中など広い範囲で左右対称に皮膚炎を発症します。
激しい痒みがあるため、掻きすぎて出血することもあります。
尻尾の付け根から背中や首筋にかけて脱毛します。
ノミは人間にもうつるため、注意が必要です。
ストレス
ストレスによって脱毛したり、血行が悪くなって痒みとなって表れることがあります。
猫はストレスから気を紛らわすためにグルーミングをし続けるため、舐めやすい前足や後ろ足、腿の内側が脱毛しやすいです。
ダニ
ヒゼンダニに寄生されて疥癬(かいせん:角質層に住みついている)になることで、強い痒みを生じます。
顔や耳に寄生されることが多く、掻きむしるため脱毛します。
猫同士の接触やハエやノミが運んできてツメダニが寄生することで、痒みはそれほどないようですが発疹やかさぶたが出来るほか大量のフケが出ます。
カビ・真菌
ストレスや栄養不足で免疫力が低下している場合、カビによる皮膚病が発症することがあります。
白癬(はくせん)というカビに感染した場合、円形に脱毛し、脱毛した部分が赤くなったりフケが出たり、発疹が出たりします。
ネコ座瘡(ざそう)
皮膚の汚れや脂肪分の多い食事によって顎の部分に脂肪の塊が出来ます。
顎の毛が抜けて赤い発疹が出ます。
猫が皮膚病にならないための対策
定期的なブラッシングやマッサージ
ブラッシングやマッサージを行うことは猫とのコミュニケーションにもなり、またブラッシングやマッサージをしながら猫の被毛や皮膚の状態を観察することで、皮膚病の早期発見にもつながります。
定期的にノミやダニの駆除薬を投薬する
ノミやダニは人にも感染するため定期的に駆除薬を投薬することをお勧めします。
フードの成分を確認する
アレルゲンとなる成分が入っていないか、フードを変えた後からしきりと身体を掻いたりしていないかなど観察しましょう。
また、猫が栄養不足になったり脂肪分を多くとりすぎていないかなど食事に注意しましょう。
ストレスの原因を把握する
ストレスの原因を把握し取り除くことで、グルーミングのやりすぎによる脱毛を防ぐことができます。
衛生面に気をつけ室内飼いにする
外に出してしまうと事故などのリスクに加え、ノミやダニが寄生してしまう可能性があります。
出来れば室内飼いに徹した方が良いですが、外に出ないとストレスになってしまう場合は、家に帰ってきたらブラッシングやマッサージをして皮膚の状態を確認したり、年に1,2回シャンプーしてあげることでノミなどを洗い流すことができます。
猫の皮膚病の検査
検査内容は動物病院によって異なります。
詳細については、かかりつけの動物病院でご確認ください。
問診
いつから痒みや発疹が出ているかやどの部分を掻くのかなど、なるべく詳しくメモしたり写真を撮っておくことで、獣医師さんが皮膚病の原因や治療法を判断しやすくなります。
被毛や皮膚の検査
被毛や皮膚の目視による確認や、病変部の真菌や細菌を採取して皮膚病の原因を検査します。
血液検査
皮膚だけではなく体内の異常が原因と疑われる場合は、他の検査に加え血液検査を行うこともあります。
アレルギー検査
血液検査によりアレルギー物質を調べる「アレルギー試験」や、アレルゲンを一切含まない食事を与えて病状を調べる「除去食試験」などがあります。
猫の皮膚病の治療
軟膏による治療
ストレスによる皮膚病の場合に処方されることが多いですが、並行してストレスの原因を把握して取り除き、繰り返し皮膚病にならないようにしてあげることが大切です。
抗アレルギー薬による治療
アレルギー性皮膚炎の場合に処方されます。
アレルゲンを把握し、猫が触れたり食べたりしないように注意が必要です。
駆除薬による治療
ノミやダニが原因の場合は滴下タイプの駆除薬を処方されます。
市販でも購入できますが、病院で処方されたものの方が効果が持続し短期間で駆除できます。
抗真菌薬による治療
カビが原因の場合は抗真菌薬が処方されます。
カビが広がらない様に毛を刈る場合もありますが、軟膏や内服薬を使うことが多いです。
シャンプーや抗真菌剤入りの薬で薬浴する場合もあります。
まとめ
猫が皮膚病になってしまった場合、困ってしまうのが治りかけの傷口を猫が舐めたり掻いたりしてしまうことです。
エリザベスカラーをすると舐めることは出来なくなり、掻くこともやりづらくはなりますが、猫にとってはとてもストレスになります。
現在では、硬いプラスチックではなく、布製のエリザベスカラーや布製のドーナツ型や花型カラーなどが出ているようです。
猫のストレスにならないよう、なるべく早く皮膚病が完治するように心掛けたいですね。