猫の変形性関節症(DJD:degenerative joint disease)とは、膝蓋骨脱臼や股関節形成不全などを発症することで併発したり、関節への過度な負担によって発症する病気です。 今回は、猫の変形性関節症(DJD)についてまとめてみました。 |
猫が変形性関節症(DJD)になった時の症状
猫の変形性関節症(DJD)の原因
猫が変形性関節症(DJD)にならないための対策
猫の変形性関節症(DJD)の検査
猫の変形性関節症(DJD)の治療
まとめ
猫の変形性関節症(DJD)について
猫の変形性関節症(DJD)は、関節軟骨がすり減って骨と骨がぶつかり合うことで関節が変形してしまい、動作時に痛みを伴う関節疾患です。
変形性関節症(DJD)のうち、脊椎に起きたものを「変形性脊椎症」と言います。
どこの関節でも起こる可能性がありますが、猫の体重のかかり方が後ろ足よりも前足にかかる比重が大きいため、前足の関節で発症するリスクが最も大きいようです。
猫が変形性関節症(DJD)になった時の症状
猫の変形性関節症(DJD)は、中年~老年期の猫に多く見られるため「老化」として捉えられ発症に気づかないことがよくあります。
下記のような症状がみられた場合は、変形性関節症(DJD)を疑って動物病院で診察を受けることをお勧めします。
歩行困難
猫が段差のある階段やキャットタワーの上り下り、トイレ、歩くのを嫌がるようになるなど
歩き方や動作がおかしい
足を引きずって歩いたり、大好きだったおもちゃで遊ばなくなる、毛づくろいが上手くできなくなる、起き上がったり寝ようとする時の動作が遅くなるなど
発熱や痛みがある
関節が気になって舐めたり噛んだりしたり、発熱して腫れている、飼い主が触ろうとすると嫌がるなど
猫の変形性関節症(DJD)の原因
中年~老年齢の猫が発症しやすいため、加齢で軟骨がすり減ったことによる発症が多いですが、以下の場合は若年であっても発症します。
肥満
猫は高いところの上り下りや動き回ることが好きな動物です。
肥満であったり栄養のバランスが悪かったりする場合は、いろいろな関節への負担が通常よりかかるため変形性関節症(DJD)を発症してしまうリスクが高くなってしまいます。
摩擦
肥満にならないようにと過度に運動をさせすぎるのも悪影響となる場合があります。
激しい運動で負荷がかかってしまい関節や筋肉を損傷し、炎症を起こして発症することもあります。
基礎疾患
股関節形成不全や膝蓋骨脱臼など、関節の形態や骨形成不全により変形性関節症(DJD)を併発する場合があります。
また、O脚やX脚で関節に不均等な負荷がかかっている場合も発症することがあります。
事故や怪我
事故や怪我による骨折や捻挫によって、骨格や関節が変形し発症する場合があります。
猫が変形性関節症(DJD)にならないための対策
老齢になった猫のほとんどが変形性関節症(DJD)の兆候が見られるというデータがあり、歩くことをやめてしまうと寝たきりになったり、他の病気を併発したりするリスクが高くなるため、若い頃からのケアが大切になってきます。
肥満対策
適度な運動により関節や骨を鍛え、肥満になって関節に負荷がかからないよう体重管理に気を配りましょう。
栄養バランスのよい食事
粗悪なフードは他の病気になる可能性も高まりますので、コンドロイチンやグルコサミンなどが含まれている良質なフードやサプリメントを与えることで丈夫な身体づくりを意識しましょう。
猫の変形性関節症(DJD)の検査
猫の変形性関節症(DJD)は、以下の検査を行います。
普段の様子を見ていて気になることがあれば、獣医師に相談してみましょう。
検査については、動物病院によって様々です。
詳しくはかかりつけの動物病院でご確認をお願いいたします。
触診
腫れや発熱、痛みを伴っているか触診で確認します。
レントゲン検査
初期の状態では判別が難しいですが、重症化するにつれ骨棘形成(こっきょくけいせい:骨組織が増殖して棘状になったもの)や炎症の様子が見られるようになります。
猫の変形性関節症(DJD)の治療
治療については、動物病院によって様々です。
詳しくはかかりつけの動物病院でご確認をお願いいたします。
基礎疾患の治療
原因となっている基礎疾患がある場合は、そちらの治療を先に行います。
対症療法
変形性関節症(DJD)の明確な原因が不明の場合は、鎮痛薬や抗炎症薬の投与を行います。
それと同時に体重の管理や適度な運動を行い、関節を支える筋肉の強化と関節への負荷を軽減します。
幹細胞療法
日本国内にはまだ普及していませんが、海外では関節症を患った猫の細胞から培養した「幹細胞」を患部に直接注入し、変形した軟骨や靭帯を修復する「幹細胞療法」による治療例が報告されています。
まとめ
猫の変形性関節症(DJD)は、老齢の猫ではほとんど発症する病気です。
基礎疾患や事故以外では、飼い主が日頃から注意していれば発症を軽減したり遅らせることができるため、適度な運動と良質なフードで愛猫の健康管理に気を配りましょう。