猫の軽い身のこなしや優れたバランス感覚には筋肉が関係しています。
この記事では、骨格とともに猫の優れた身体能力の基礎である筋肉について紹介していきます。
全身の筋肉と特徴
猫の筋肉は他の動物の筋肉と比較すると、皮膚が伸び縮みしたり腸が短くて内臓の位置を身体の動きに合わせて変えられる特徴があるためとても柔らかいです。
猫は獲物を狩るために瞬発的なスピードやジャンプ力を必要とします。
そのため、その筋肉の60%弱は収縮速度が速く収縮力が強い筋肉で構成されています。
しかし、この筋肉には持久力が無いため10~15分程度ねこじゃらしなどで遊んであげると疲れてしまい、猫はコロンと横になって休んでしまいます。
猫の身体がどのような筋肉で構成されているのか、大きく6つの部位に分けてそれぞれ見ていきましょう。
猫の頭部
実際に猫を飼ってる方は微妙な表情の違いに気が付きますが、一般的に猫は表情があまりないと言われています。
猫の顔は人と比べると筋肉の量や数が少ないため、表情が作りにくいのが理由のようです。
前頭筋(ぜんとうきん)は眉間を上に引き上げる筋肉で、内側眼角挙筋は目を上に引き上げる筋肉です。
猫は目の上にある長い毛に何かが触れると反射的に目を閉じますが、この時に目の周りにある眼輪筋(がんりんきん)を使います。
大頬骨筋(だいきょうこつきん)は口角を上外側に引き上げる筋肉で、口蓋帆挙筋(こうがいはんきょきん)は軟口蓋を上にあげ食べ物を食べる際に収縮して食物が鼻咽頭に入るのを防ぎます。
食べる時には、頬の部分にある咬筋(こうきん=咀嚼筋:そしゃくきん)を使って咀嚼運動をします。
猫の首~前足部
胸骨舌骨筋(きょうこつぜっこつきん)は舌骨を下方に引く役割があり、食べ物を噛んだり飲み込んだりする際に使う筋肉です。
上腕筋(じょうわんきん)は上腕骨と前腕骨をつなぐ筋肉で、主に肘を折り曲げる時に使う筋肉です。
上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)は肩甲骨と肘をつなぐ筋肉で、肘を伸ばしたり脇を締める時に使用します。
猫は常に前足を地面につけて体重を支えているため、非常に良く発達しています。
尺骨伸筋は、前足を動かす時に使う筋肉です。
猫の後足部
縫工筋(ほうこうきん)は、骨盤と膝蓋骨(しつがいこつ)をつなぐ筋肉で、歩く時や走る際に太ももをお腹の方に近づける時に使います。
外側広筋(がいそくこうきん)は、骨盤と大腿骨、大腿骨と脛骨や腓骨をつなぐ4つの筋肉のうちの1つで、太ももの前面にある筋肉です。
膝を伸ばす役割があり、ジャンプする時に使われます。
大腿二頭筋(だいたいにとうきん)、半膜様筋(はんまくようきん)、半腱様筋(はんけんようきん)の4本の筋肉は通称「ハムストリング」とも呼ばれ、膝を後方に折りたたむ時に使います。
外側広筋のある大腿四頭筋とハムストリングが腿の表と裏で筋力の均衡を保っています。
腓腹筋(ひふくきん)は、主に膝を折り曲げる時に使います。
浅指伸筋などの指伸筋群は、足首をまっすぐに伸ばす時に使います。
指屈筋群は指先や足の指を丸める時に使い、その中の1つである深指屈筋(しんしくっきん)は猫が爪を出し入れする時に使う筋肉です。
指伸筋群や指屈筋群は、紹介している以外にもとても細かい筋肉がたくさんあります。
前脛骨筋(ぜんけいこつきん)や、長腓骨筋(ちょうひこつきん)は足首を折り曲げる時に使う筋肉で、長指伸筋(ちょうししんきん)は指を伸ばす時に使う筋肉です。
猫の胸部
胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)は首の側面を斜めに通っている帯状の筋肉で、首を旋回させたり頸部を上下左右に動かす時に使います。
肩甲挙筋(けんこうきょきん)は頸部の後ろ側に位置する筋肉で、主に肩甲骨を引き上げる時に使います。
小胸筋(しょうきょうきん)は胸骨と上腕骨をつなぐ筋肉で、四足歩行で常に腕立て伏せをしている状態を保つために非常に良く発達します。
前鋸筋(ぜんきょきん)は胸郭と肩甲骨との間を後ろ側に走り肋骨面についている筋肉で、肩甲骨を前に押し出す時に使います。
腹直筋(ふくちょくきん)や外腹斜筋(がいふくしゃきん)は、助骨と骨盤、脊柱をつなぐ筋肉です。
腹直筋は助骨と骨盤の位置を近づける時に使い、外腹斜筋は脊柱を回転させる時に使います。
猫が全力で走る時に背中を丸めながら走ったり、背中から落ちても空中で身体を回転させて着地する時にこれらの筋肉を使っています。
猫の背~腰部
頭を回転させたり後方に曲げたりする時には、後頭筋(こうとうきん)を使います。
四足歩行をする猫は常に頭を持ち上げる体勢を保つために、この部分の筋肉は発達します。
広背筋(こうはいきん)は、脊柱と肩甲骨、上腕骨をつなぐとても大きな筋肉で、前方への推進力を生み出す役割があるため非常に良く発達します。
僧帽筋(そうぼうきん)は肩甲骨と頚椎や後頭部をつなぐ筋肉で、前足を前方に大きく振り出して走る時に使います。
三角筋(さんかくきん)は肩甲骨と上腕骨をつなぐ筋肉で、上腕骨を前方に振り出す時に使います。
棘上筋(きょくじょうきん)は三角筋とともに肩関節を外転させる時に使う筋肉で、棘下筋(きょくかきん)は肩関節を内転させる時に使う筋肉です。
腸肋筋(ちょうろくきん)は頚椎から肋骨、仙骨に付着する筋肉です。
内腹斜筋(ないふくしゃきん)は外腹斜筋の深層にある筋肉で、腰部を外腹斜筋とは反対方向に回旋したり、前方や横に曲げる際に使います。
猫の尾部
臀筋(でんきん)には、大臀筋(だいでんきん)、中
臀筋(ちゅうでんきん)、浅臀筋(せんでんきん)があり、大腿骨と骨盤をつなげている筋肉です。
大腿骨を後ろへ引きつける時に使い、優れた瞬発力で瞬間的にスピードを出して獲物を捕獲します。
尾骨筋(びこつきん)や尾筋(びきん)は仙骨と尾椎、尾骨をつなぐ筋肉です。
尻尾が短いジャパニーズボブテイルやピクシーボブなどの猫種では、この筋肉はほとんど使われません。
体型による6つのボディタイプ
猫は骨格や筋肉の形状や量で主に6つのボディタイプに分けられます。
オリエンタルタイプ
6つの中で一番スマートな体型 手足や尻尾が長く、耳が大きい サイアミーズ(シャム)、ピーターボールドなど |
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フォーリンタイプ
オリエンタルタイプより少し丸みを帯びている体型 胴体や手足が長く、目がアーモンド型 アビシニアン、ロシアンブルーなど |
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セミフォーリンタイプ
フォーリンタイプよりも丸みを帯びている体型 少し丸みを帯びた逆三角形の顔 オシキャット、マンチカンなど |
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セミコビータイプ
コビータイプよりも小さめで丸みのある体型 筋肉質で大きく顎がしっかりした顔 アメショ、スコティッシュフォールドなど |
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コビータイプ
手足が短めで太く、足先に丸みのある体型 頭部が丸く耳は小さめ エキゾチックショートヘア、ペルシャなど |
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ロング&サブスタンシャルタイプ
手足が長く大型な体型 筋肉質で成猫の体型になるまで年数がかかる サイベリアン、ベンガルなど |
猫の体型・ボディタイプについては、こちらの記事でも紹介しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
猫の筋肉には優れた瞬発力や跳躍力がありますが、持久力が無いのが特徴です。
肥満やケガ、病気、老化などが原因で筋力が落ちてしまうと、キャットタワーなどに登れなくなったり座っていることが多くなってしまい症状が悪化する場合がありますので、猫の状態に合わせた治療や運動をさせて出来るだけ筋力を維持させてあげましょう。