猫の病気

猫の外耳炎

猫の耳 耳の穴から鼓膜までの間を「外耳(がいじ)」といいます。この外耳に炎症が起こることを外耳炎といいます。
今回は、猫の外耳炎についてまとめてみました。
目次

猫の外耳炎について

猫の外耳道の表面は、表皮(皮膚の外側)、真皮(しんぴ:表皮の下で皮膚の形状を維持)、分泌腺(アポクリン腺)などで構成されています。これらの組織に炎症が起こることを外耳炎と言います。外耳炎は、下記のどちらか、もしくは両方に炎症が発症した状態のことで、鼓膜よりも内側に炎症が起きた場合は「中耳炎」や「内耳炎」と呼びます。

 垂直耳道

耳たぶ(耳介:じかい)から垂直方向に下りる外耳道

 水平耳道

垂直耳道の突き当りから水平方向に延び、鼓膜までの外耳道

猫が外耳炎になった時の症状

猫の外耳炎の症状は、進行すると鼓膜の内側にまで炎症が広がって中耳炎や内耳炎を引き起こす可能性があります。下記のような症状が見られた場合、すぐに動物病院に行きましょう。

 耳をしきりに掻いたり頭を振ったりする

前足や後ろ足で耳をしきりに掻いたり頭を振ったりするのは、耳の違和感が気になっているからです。

 耳垢が大量に出たり悪臭がする

細菌感染して膿んでいると、大量の耳垢が出たり腐敗したような悪臭がします。

 耳が赤く腫れたり耳道が狭くなっている

耳が腫れて皮膚が厚くなっている状態です。悪化すると鼓膜まで到達し、鼓膜が破けてしまうこともあります。

 耳を触ろうとすると嫌がる

症状が酷くなって痛みを伴っている場合、飼い主が耳を触ろうとすると嫌がったり、起こって噛みついてくることもあります。

猫の外耳炎の原因

 先天性のもの

耳に特徴があるスコティッシュフォールドやアメリカンカールは、耳の中に湿気がこもりやすく外耳炎を発症しやすいと言われています。

 基礎疾患

アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、ホルモンの異常や自己免疫性疾患などが外耳炎を併発することがあります。

 細菌感染

大腸菌やブドウ球菌などの細菌感染や真菌(酵母)感染によって外耳炎を発症することがあります。

 寄生虫

ミミヒゼンダニによる耳疥癬がある場合は、ダニがつけた傷や排せつ物が引き金になって炎症が起こります。

 異物

ポリープ、腫瘍、過剰な耳垢や被毛、植物の種などが炎症を引き起こすことがあります。

 生活習慣

飼い主が耳掃除をやりすぎたり、逆に全くやらなかったり、シャンプーの拭き取り不足や湿度が高い環境で暮らしているなどの要因で炎症を起こすことがあります。

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猫が外耳炎にならないための対策

 定期的に耳掃除をする

1ヶ月に1、2回を目安に、柔らかいコットンやイヤークリーナーを使って優しく吹いてあげましょう。耳に特徴のある猫種の場合はもっと回数を増やしてもいいですが、耳が傷つかないように注意しながら行いましょう。

 日頃から様子を観察する

外猫から耳ダニをうつされないように完全室内飼いにし、特に梅雨など湿度の高い季節は猫の様子を観察し、耳を気にしている様子が見られた場合は速やかに動物病院に行きましょう。

猫の外耳炎の治療

治療については、症状や動物病院によって様々です。
詳しくはかかりつけの動物病院でご確認をお願いいたします。

 先天性が原因の場合

耳垢を取り除き、抗生物質の投与と点耳薬で治療をします。耳の形から菌が繁殖しやすいため、治療時に正しい耳かきの仕方などを確認するといいかもしれません。

 基礎疾患が原因の場合

ステロイドや抗ヒスタミン薬などの投与と、アレルギーを引き起こしているアレルゲンを特定し一掃するように生活環境を改善します。

 細菌感染が原因の場合

抗菌薬や抗真菌薬を投与して治療します。

 寄生虫が原因の場合

洗浄剤を使用して耳を掃除し、抗ダニ薬を塗布します。

 異物が原因の場合

耳垢や被毛、植物の種などは除去し、ポリープや腫瘍は症状によっては手術を行います。

まとめ

猫の外耳炎は、よく起こる症状です。悪化すると鼓膜が破れたり、猫自身も痒みや痛みを伴います。日頃から猫を様子を観察し、定期的に耳掃除をしてあげましょう。

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