猫の病気

猫の脊髄性筋萎縮症

メインクーン 猫の脊髄性筋萎縮症は、脊髄の運動神経細胞が消失し徐々に筋力の萎縮や低下が起こる遺伝性疾患です。
今回は、猫の脊髄性筋萎縮症についてまとめてみました。
目次

猫の脊髄性筋萎縮症について

猫の脊髄性筋萎縮症は、胴や四肢の筋肉を動かす脊髄の運動神経細胞が消失し、徐々に筋力の萎縮や低下が起こる遺伝性の神経疾患です。生後約4ヶ月頃に筋萎縮や筋力低下といった症状が発症し寿命が短くなる傾向があります。
英語では、SMA(spinal muscular atrophy)と表します。

猫が脊髄性筋萎縮症になった時の症状

 後ろ足の筋力低下、震え

猫の脊髄性筋萎縮症は、生後約4ヶ月頃から兆候が現れます。脊髄運動神経の分解に伴い後ろ足の筋肉が弱くなり、かすかに震えるようになります。

 ジャンプをしなくなる、歩き方がおかしくなる

生後5ヶ月を過ぎると、さらに脊髄の運動神経が分解され一般の子猫に見られる飛んだり跳ねたりといった行動がなくなります。ジャンプする能力を失い、後ろ足の筋力低下をかばうような歩き方をするようになったり、安定性を得るために後ろ足の先を外側に開いて膝で立ちます。このような筋力の低下はまず足の筋肉に現れ、次第に広がっていきます。

 呼吸が荒くなる

筋力の低下に伴い非常に疲れやすくなり、呼吸が荒くなったり、部屋を横切るような距離も歩き続けることが出来ず、途中で座ったり横になったりするようになります。

 知覚過敏

生後半年~1年ほどの子猫に見られる症状として、胸腰部の背中側から尻尾にかけて知覚過敏がありますが、その後解消します。

 症状の進行の鈍化

生後8ヶ月から1年ほどになると、初期の様な急激な筋肉の萎縮や筋力低下の症状はなくなり、進行はゆるやかになります。

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猫の脊髄性筋萎縮症の原因

猫の脊髄性筋萎縮症は常染色体劣性の遺伝性疾患であるため、生まれた子猫がこの病気を発症するかどうかは親猫が疾患を持っているかどうかによります。症状は幼年期に発症するため、繁殖する年齢に達する頃には疾患猫かどうか判別できますが、キャリア(疾患となる遺伝子を持っているが脊髄性筋萎縮症を発症しない)猫の場合は、通常の猫と見た目が変わらないため、両親ともにキャリア猫の場合は脊髄性筋萎縮症を発症する子猫が生まれる可能性があります。

 両親ともに疾患猫の場合

疾患猫同士を交配することは通常では考えにくいことではありますが、この場合はすべての子猫が脊髄性筋萎縮症を発症する疾患猫になります。

疾患猫 × 疾患猫 疾患猫 疾患猫 疾患猫 疾患猫

 両親が疾患猫とキャリア猫の場合

疾患猫とキャリア猫との交配では、1/2が疾患猫で1/2がキャリア猫になります。

疾患猫 × キャリア猫 疾患猫 疾患猫 キャリア猫 キャリア猫

 両親が疾患猫と正常猫の場合

疾患猫とキャリア猫との交配では、全ての子猫がキャリア猫になります。

疾患猫 × 正常猫 キャリア猫 キャリア猫 キャリア猫 キャリア猫

 両親ともにキャリア猫の場合

両親ともにキャリア猫の交配では、1/4が疾患猫、1/2がキャリア猫、1/4が正常猫になります。

キャリア猫 × キャリア猫 疾患猫 キャリア猫 キャリア猫 正常猫

 両親がキャリア猫と正常猫の場合

キャリア猫と正常猫との交配では、1/2がキャリア猫、1/2が正常猫になります。

キャリア猫 × 正常猫 キャリア猫 キャリア猫 正常猫 正常猫

猫が脊髄性筋萎縮症にならないための対策

猫の脊髄性筋萎縮症は、遺伝性疾患のため予防することは困難です。そのため、この常染色体劣性の遺伝子を持つ猫を繁殖に用いないことが予防となります。猫種としては「メインクーン」がこの遺伝性疾患を持って生まれる場合があるとされていますので、メインクーンを繁殖させたいと考えている方は繁殖する前に遺伝子検査を受けることをお勧めします。一代限りの繁殖であれば、どちらかがキャリア猫だとしてももう一方が正常猫であるならば、生まれる子猫は全てこの遺伝性疾患を発症しません。

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猫の脊髄性筋萎縮症の治療

残念ながら、現在この遺伝性疾患に対する有効な治療法は見つかっていません。

アメリカの製薬会社が開発した「スピンラザ」という薬が、有効性を証明しており日本でも承認されていますが、非常に高額な新薬のため猫への投薬には現実的ではないとされています。

まとめ

猫の脊髄性筋萎縮症は、予防法も治療法もない遺伝性疾患です。メインクーンを飼うことを検討されている方、特に繁殖することを考えている方は、きちんとしたペットショップやブリーダーから親猫の情報を得て入手されることをお勧めします。

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