あまり日常で使う言葉ではありませんが、「猫に小判」ということわざを聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
この記事では、「猫に小判」の意味や語源についてまとめてみました。
「猫に小判」とはどういう意味なのか?
「猫に小判」とは、人には価値のある小判を猫に与えても何にもならないないことから、「価値が分からない人に良いものを与えても無駄である」という意味です。
相手が猫であるなら問題はないですが、人に対して使う場合は人間関係に影響を及ぼす可能性があるので、使用する時には気を付けましょう。
人によって価値観は違うものです。
あなたが相手に高いブランド物の服やアクセサリー等をプレゼントしたとしましょう。
「ブランド物である」ということや「高価である」ことに価値観を重視している人は喜んで着たりつけたりしてくれるでしょうが、「機能性」や「利便性」に価値観を重視している人からすると「汚れたらもったいない」「失くしたら困る」と困惑し、結局は使用せずにそのまましまい込んでしまうかもしれません。
こんな時に、もしあなたが「猫に小判」なんて言ってしまったら、相手は深く傷つき関係がぎくしゃくしてしまうかもしれませんよ。
「猫に小判」の語源
江戸中期には「猫に小判を見せたよう」と表現されていましたが、「猫に小判」とすることでことわざのような表現になりました。
江戸後期には、『上方(京都)いろはかるた』の「ね」の札として採用されたことで広く一般に知られるようになったと言われています。
ちなみに、いろはかるたには3種類あり、江戸の「ね」の札には「年には念を入れ」が使われ、大坂(大阪)の「ね」の札には「寝耳に水」が使われています。
なぜ「猿」や「犬」ではなく、「猫」が使われるようになったかについては、昔から「猫」は「猿」とは違い人にとって身近な動物であり、「犬」のように躾が出来なく人の思い通りにいかない存在であったからとされています。
「猫に小判」の類義語
馬の耳に念仏
「人にとってはありがたい念仏も馬には無用のものである」という意味です。
また、この言葉には「人の話や意見に耳を貸さない」という意味も含まれています。
犬に論語
「人によっては有益な論語も犬には役にたたない」という意味で使われる言葉です。
この言葉も「馬の耳に念仏」と同じように、「人の話や意見に耳を貸さない」という意味が含まれています。
豚に真珠
新約聖書「マタイ伝」に記載されている言葉で、猫に小判と同じように「価値のわからない者には、貴重な物も無意味である」という意味で使われている他に、「ふさわしくない」「似合わない」という意味も含まれているため、人に対して使う場合は失礼にあたりますので気を付けましょう。
坊主の花簪(はなかんざし)
「坊主が造花などで飾った綺麗な簪を持っていても、何の役にも立たない」という意味で使われます。
まとめ
いかかでしたでしょうか。
「猫に小判」の意味は知っている方は多いと思いますが、語源についてまで知っていた方はあまりいないのではないでしょうか。
「猫に小判」は人に対して使うと失礼にあたる可能性がありますので、使うなら自分に対して使う方が無難かもしれませんね。