猫を飼いたいと思った時に「血統書付きの猫」と聞くと「優秀な猫」や「出生のきちんとした猫」というようなイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、猫の血統書や登録団体について詳しく紹介していきます。
猫の血統書とは
「猫の血統書」とは、血統種に与えられる生年月日や両親が誰なのかなどを証明する書類で、人で例えると戸籍謄本(こせきとうほん)のようなものになります。
血統書付きの猫は「出生を公的に証明されている猫」ということであり、「他の猫より優秀だから血統書が与えられている」ということではありません。
ペットショップ業界で多く扱われている血統書発行団体はICC(インターナショナルキャットクラブ)やACC(アジアキャットクラブ)ですが、ペットショップによってはよくわからない団体が発行していたり、個人が私製した血統書の場合もあります。
猫の血統書を発行している団体
国内の団体
TICA(TICA Asia East Region)
TICA(The International Cat Association)は、最も有名は世界2大猫血統書登録団体のうちの1つです。
血統書を発行してもらうためには厳しい審査が必要になりますが、公認されると世界的に純血種と認められた血統書が入手出来るため、血統書の中では人気があります。
日本は、この中の東アジア地区に分類されています。
CFA(CFA Japan Region)
CFA(Cat Fanciers’ Association)は、TICAと並ぶ世界2大猫血統書登録団体のうちの1つです。
こちらも血統書を発行してもらうためには厳しい審査が必要になりますが、血統書の中では人気があります。
本部はアメリアのオハイオ州にあり、日本は日本地区に分類されています。
ICC(International Cat Club)
ICC(International Cat Club)は日本の猫血統登録団体で、東京に本部があり各都道府県に支部があります。
「各猫種の猫籍登録及び優良猫の普及と飼育指導奨励を行い、広く国民の動物愛護の精神を高揚すること」を目的に設立されています。
ここで発行された血統書は世界的には通用しないことも多いため、愛猫を大きなキャットショーに参加させたい場合は、上記したTICAやCFAの血統書が必要になることもあります。
ACC(Asia Cat Club)
ACC(Asia Cat Club)は日本の猫血統登録団体で、東京に本部があります。
中央ケネル事業協同組合連合会が法人組合として発足した後、連合会と傘下地域組合の役員が中心となって立ち上げた猫登録団体であり、血統書の発行業務、キャットショーや猫に関する講習会などを開催しています。
ここで発行された血統書は世界的には通用しないことも多いため、愛猫を大きなキャットショーに参加させたい場合は、TICAやCFAの血統書が必要になることもあります。
国外での主な団体
団体名略称(団体正式名) | 概要 |
ACA |
アメリカの猫血統登録団体 |
ACFA |
アメリカの猫血統登録団体 |
CFF |
アメリカの猫血統登録団体 |
UFO (United Feline Organization) |
アメリカの猫血統登録団体 |
GCCF |
イギリスの猫血統登録団体 |
ICFA RUI (The International Cat Fanciers' Association Rolandus Union International) |
ウクライナの猫血統登録団体 |
CCA |
カナダの猫血統登録団体 |
FIFe |
スウェーデンにあるヨーロッパ最大の猫血統登録団体 |
WCF |
ドイツの猫血統登録団体 |
CATZinc |
ニュージーランドの猫血統登録団体 |
NZCF |
ニュージーランドの猫血統登録団体 |
ICFA WCA (The International Cat Fanciers' Association World Cat Association) |
ロシアの猫血統登録団体 |
CAA (Cat Aficionado association) |
中国の猫血統登録団体 |
REFR |
希少種の登録を専門的に行う団体 |
TDCA |
小型種の登録を専門的に行う団体 |
猫の血統書があることのメリット
純血種であることの証明
血統書は、純血種としての標準規定を満たしていなければ発行されないため、純血種であることの証明になります。
残念なことに、世の中には悪質なブリーダーやペットショップが存在し、純血種と偽って高額で販売する人もいますので、血統書が付いていることでそういったものではないと見分けることができます。
キャットショーに参加することができる
様々な猫の血統登録団体が行っているキャットショーの参加条件の中には「血統書を持っている」というものがあります。
ご自分の愛猫をキャットショーに参加させたいと考えている方には、血統書は必ず必要なものになります。
近年では、純血種だけではなく何らかの基準を持った中で順位を競うカテゴリもあるようです。
ブリーダーとなって繁殖させることができる
血統書の無い猫は、他の猫種の血が混ざっているかもしれません。
ブリーダーにとって猫を繁殖させる際には、その猫種の基準を満たした仔猫を出生させることが重要になるため、血統書で純血種であることを認められた猫同士を繁殖させることが基本となります。
猫の血統書に記載されている内容
猫の血統書は全てローマ字で表記されています。
猫の情報
記載されている文字 | 意味 |
Name of Cat | 猫の名前 |
Date of Birth | 猫の生年月日 |
Breed | 猫の種類 |
Color | 猫の毛色 |
Eye Color | 猫の目の色 |
Sex | 猫の性別 |
Breeder | 繁殖者(ブリーダー) |
Owner | ※所有者(オーナー) |
※所有者(オーナー):この欄は空欄であったり、繁殖者(ブリーダー)名が入っていることもあります。
ご家族で家族の一員としてお迎えするだけの場合は、名前を変更する必要はありません。
名前の変更をしなかったために、ある日突然取り上げられるといったこともありません。
ただし、猫をキャットショーに出したいと考えている方や、ブリーダーとして猫を繁殖する予定の方は変更した方がいいです。
名義変更し所有者になると、登録している血統書団体に入会したり会費を支払う必要があります。
血統情報
ここで紹介している情報がすべて記載されているわけではなく、両親以外の情報がない場合もあります。
空欄だから血統書が偽物というわけでもありません。
記載されている文字 | 意味 |
Parents | 両親猫の情報 |
Sire | 父猫 |
Dam | 母猫 |
Grandparents | 祖父母猫の情報 |
G.Sire | 祖父猫 |
G.Dam | 祖母猫 |
Great Grandparents | 曾祖父母猫の情報 |
G.G.Sire | 曾祖父猫 |
G.G.Dam | 曾祖母猫 |
登録に関する情報
ここで紹介している情報は記載されているか確認しましょう。
血統書は「猫の出自を公的に証明するもの」なので、ここが空欄の場合証明している団体がなかったり、純血種としてきちんと登録されていないことになります。
記載されている文字 | 意味 |
Number | その登録団体における登録番号 |
Date | その登録団体における登録日 |
Group name | 団体名 |
猫の血統書に記載されている赤字の意味
血統書の中には、赤い文字でアルファベットが書かれている場合があります。
このアルファベットは、その猫(両親、祖父母、曾祖父母)がキャットショーで獲得した成績が書かれています。
記載されている文字(タイトル) | 意味 |
GC(Grand Championship) | グランドチャンピオン:チャンピオンクラスで同じチャンピオン200頭に勝った |
CH(Championship) | チャンピオン:オープンクラスで6本のウィナースリボンを獲得した |
GP(Grand Premium) | グランドプレミア:プレミアクラスで75頭のプレミアに勝った |
PR(Premium) | プレミア:避妊去勢のクラスで6本のウィナースリボンを獲得した |
NW(National Winner) | ナショナルウィナー:米国を中心に年間ランキングに入賞した |
RW(Regional Winner) | リジョナルウィナー:日本を含め、各地域の年間ランキングに入賞した |
DM(Distinguished Merit) | ディスティングウィッシュドメリット:オス猫であれば15匹のグランドチャンピオン、メス猫であれば5匹のグランドチャンピオンを生んだ猫に与えられる称号で、この称号は猫の名前の後に書かれます |
猫の血統書は仔猫を購入後すぐにもらえるのか
猫の血統書の受取は、購入したブリーダーやペットショップ、売買契約書の内容によって違います。
多くの場合は、血統登録が済んでおり購入後1~2ヶ月ほどで手元に届きます。
購入時に血統登録が済んでいない場合は、登録が済み次第届きます。
ブリーダー直販の場合、売買契約書の中に去勢や避妊手術をすることが条件となっていることがあり、この場合は去勢や避妊手術後に手術を証明する書類を提示した後に届きます。
購入先によっていろいろ条件の違いがあるため、受け取り時期について気になる方は購入する際に確認してみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
血統書はその猫の出自を証明するものであって、その猫が血統書の無い猫よりも優秀であることを証明するものではありません。
我が家にやってきた猫であれば、血統書があっても無くても同じ家族の一員です。
血統書の有無に関わらず、変わらぬ愛情を注いで愛猫との素敵な日々を過ごしてくださいね。