あまり日常で使うことはありませんが、あなたは「猫も杓子(しゃくし)も」ということわざを知っていますか?
この記事では、「猫も杓子も」の意味や語源についてまとめてみました。
「猫も杓子も」とはどういう意味なのか?
「猫も杓子も」とは「誰も彼も」「何でもかんでも」という意味です。
「杓子(しゃくし)」とは、日常でよく見るしゃもじやおたまのことです。
何故一見して関係のない「猫」と「杓子」が選ばれたのかは分かりませんが、どちらも身近な存在やものであり、杓子は昔の時代では「女房」の象徴であり、女房は一家を守るため家を空けてはならないとされていたことから、普段家を出ない女房も一緒に飛び出す=「誰でもみんな」というような意味で使われるようになったと考えられています。
「猫も杓子も」の語源
「猫も杓子も」は、1668年の『一休咄(いっきゅうばなし)』に「生まれては死ぬるなりけりおしなべて釈迦(しゃか)も達磨(だるま)も猫も杓子も」と書かれています。
この言葉は「生まれたものはすべて死ぬ。釈迦も達磨も、誰でもかれでも」という意味です。
「猫は分かるけどしゃもじやおたまが死ぬの?」という疑問が出そうですが、しゃもじやおたまは日常的に使う道具であることから壊れたり汚れて使えなくなるという意味であると考えられます。
語源とされる説はその他にもいくつかあります。
- 「女子(めこ=女)も弱子(じゃくし=子供)も」が変化したものとする説
- 「寝子(ねこ=寝る子)も赤子(せきし=赤ん坊)も」が変化したものとする説
- 「禰子(ねこ=神主)も杓子(釈氏・釈子=僧侶)も」が変化したものとする説
どれも口頭で伝えられたと考えられており、正確な語源は明確になっていません。
「猫も杓子も」の類義語
老若男女(ろうにゃくなんにょ)
老人も若者も男も女もという意味であらゆる人を表します。
揃いも揃って
この言葉はあまり良い意味では使われません。
同じ様なものが集まっていることを呆れた気持ちで使う言葉です。
刑事もののドラマなどで、犯人をなかなか捕まえられない部下に対して上司が「揃いも揃って犯人1人捕まえられないなんて!」みたいなセリフなかったですかね?
右を見ても左を見ても(右も左も)
周りを見渡して同じ様子であることを意味する言葉です。
「右を見ても左を見ても、スマホをいじっている」の様に使います。
雲霞(うんか)の如(ごと)く
「通勤ラッシュ時には、雲霞の如く足早に歩いていく」のような使い方をします。
なだれを打って
「新しいゲームの発売日に、なだれを打って人々が押し寄せた」のような使い方をします。
まとめ
いかかでしたでしょうか。
「猫も杓子も」の意味は何となく知っていたけれど、語源はいくつかあることまで知っていた方はあまりいないのではないでしょうか。
「猫も杓子も」は肯定的にも否定的にも使うことが出来るため、使う時には相手に誤解を与えないように気を付ける必要があります。